塩野義製薬は18日、米国子会社のサイエル・ファーマがビクトリー・ファーマを買収したと発表した。米国における疼痛とその関連疾患に対する治療薬の導入、開発および販売を目的としたもの。ビクトリーは、疼痛に特化した医薬事業を行っており、買収額は1億5000万ドル(約143億円)
買収手続きの完了は2009年第2四半期を見込んでおり、買収の実行には米国独占禁止法に基づく条件や、その他一般的な前提条件を満たす必要がある。
サイエルは、循環器領域分野を得意としており、既に高血圧治療薬などを上市している。そこに、親会社の塩野義製薬が重点領域の一つに掲げる疼痛分野を加えることで、開発品ポテンシャルの最大化を目指す。
また、ビクトリーの買収により、塩野義製薬が開発中のオピオイド副作用緩和薬や、今後臨床開発を予定している化合物のグローバル開発を、より一層加速させることも期待している。
ビクトリーの主力製品には、NSAIDsの「ナプレラン」がある。同剤は、NSAIDsである塩酸ナプロキセンで唯一の一日一回投与を可能とする徐放製剤で、他の製剤に比べ消化器等への安全性に優れているのが特徴だ。
サイエルのエド・シュッター社長は、「ビクトリーの買収は、サイエルの製品ポートフォリオの拡大戦略を実行する重要な過程であり、サイエルの継続的な成長をより確実なものにしたい」と抱負を述べている。
一方、ビクトリーのマット・ヘック社長は、「COX‐2阻害剤による心血管系の毒性懸念が広く認知されてきたことで、米国等での疼痛治療は従来のNSAIDs治療に移りつつある。ナプレランは、安全性の高いNSAIDsとして今後の成長が期待されている」と強調。「今後、サイエルは、ビクトリーの既存製品と開発品のポテンシャルを最大化させてくれるものと確信している」とコメントしている。