非臨床試験の大転換か
米国食品医薬品局(FDA)は米国時間の10日、抗体医薬品の開発候補を対象に動物実験を段階的に廃止するためのロードマップを策定した。ヒトの毒性が予測可能となるようインビトロ評価、生体模倣システム(MPS)やAIなど先端的な技術を組み合わせて新たな安全性試験を考えていく「NAMs」(新しいアプローチや方法論)を数年で実現させ、動物実験を廃止できるよう非臨床試験のガイドライン改訂も計画する。日本でもNAMsの実現を目指したプロジェクトが始動しており、「抗体医薬品やバイオ医薬品関連の企業はNAMsへの対応に動き出す可能性がある」との声もある一方、製薬業界からは「3~5年で動物試験を完全に置き換えるようなNAMsの出現は難しい」と現実的な見方もある。
FDAは、抗体医薬品の安全性評価で用いられる動物実験を代替するため、薬物の体内での挙動を予測するためにコンピュータモデリングとAIを活用することを推奨し、副作用予測に役立てる方針だ。ヒト細胞のオルガノイドや肝臓、心臓、免疫臓器などのヒト臓器を模倣した臓器チップシステムの使用を推進し、動物実験では予測できないヒトでの毒性を予測して、ヒト評価に外挿できるようにする。
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