インターネットで医薬品などを販売しているケンコーコム(代表・後藤玄利氏)とウェルネット(尾藤昌道代表取締役)は、厚生労働省が2月6日にネットなどによる一般薬の通信販売を規制する改正薬事法省令を公布した問題で、国を相手取り、ネット販売を継続する権利の確認や、省令の取り消しなどを求める訴えを東京地裁に起こした。後藤氏は、ネットの販売規制について「明白に営業の自由を侵害して、違憲」と主張した。
訴訟内容は、▽第1類薬、第2類薬を、ネットなどの郵便販売により販売する権利がある▽ネットなどの郵便販売を禁止する省令が無効である▽ネット販売を禁止する省令の取り消し――の3点。
後藤氏は、訴訟に至った経緯について、「省令施行まであと1週間となったが、医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会も終了し、パブリックコメントも終わり、われわれがこの省令の施行を食い止める手段は唯一、行政訴訟を起こすしかなかった」と説明。
その上で、「改正薬事法上では、ネット販売を禁止する条文はない」とし、「法に書かれていない重大なルールを独断で作ったのは、厚労省の暴走」と非難した。
また、安全なネット販売を行うための情報提供のルールを自主規制で作るなど、「安全性にはこだわりを持って販売を行ってきた。なぜネット販売だけが割を食う制度改正がなされるのか、全く納得できない」とした。
改正薬事法が施行される6月1日以降の対応について後藤氏は、「悪法といえど法は法」と述べ、省令を遵守していく考えを示した。
訴訟に楽天やヤフーなどの事業者が名を連ねていない点については、「販売当事者の権利を確認する訴訟」であるため、プラットフォームのみを提供しているショッピングモールの事業者などは加わっていないと説明した。
省令をめぐっては、楽天の三木谷浩史社長が、22日の検討会終了後、「弁護士と相談して訴訟も検討する」と述べるなど、あくまで規制反対を貫く意向を示していた。