日本薬史学会2025年会(年会長・桐原正之静岡理工科大学理工学部教授)が4日、静岡市の静岡理工科大学静岡駅前キャンパスで開かれた。今年会は次世代を担う学生の参加者が多かったのが特徴で、薬史の研究者のみならず、薬に関わる様々な業種と年代の参加者が交流する場となった。

一般講演では、口頭発表として加藤茂孝氏(東京慈恵会医科大学客員教授)による「過去の疫病の病原体解明はできるのか?天然痘を例に」、森田愛梨氏(近畿大学薬学部)による「多変量解析による緒方洪庵関連史料収載生薬の史料間比較」のほか、佐藤晶子氏(京都外国語大学教授)の「日英米におけるコミュニティ通訳史の展開と医療通訳の位置づけ―薬学分野への示唆」など14演題が発表された。
ポスター発表として、飯山紗弓氏・桐原正之氏(静岡理工大)らによる「澤野医院記念館に残された医薬品・医療器具の調査研究」、宮崎啓一氏(三栄化工)「関西学院理工専門部製薬工業科の興亡について」など9演題、合計23演題が発表された。
特別講演として、井上宗宣氏(相模中央化学研究所所長)による「含フッ素医薬品の開発史―毒矢からブロックバスターまで」、公開講演として、佐藤健太郎氏(サイエンスライター)による「世界史を変えた薬」、招待講演として鈴木寛彦氏(むつごろう薬局・東邦大学客員講師)による「徳川家康公の漢方薬―医薬への関心と造詣」があった。