日本イーライリリーのアルフォンゾ・G・ズルエッタ社長は9日、都内で記者会見し、抗癌剤「アリムタ」が5月に、非小細胞肺癌の追加適応を取得したことを受け、「癌領域の売上比率を現状の17%から、09年度は20%にまで高めたい」との意欲を示した。さらに3~5年後には、主力の抗癌剤「ジェムザール」とアリムタの伸長により、「売上比率30%を達成できる」と癌領域を中心とした成長戦略に自信を示した。
日本イーライリリーは、中枢神経、内分泌、骨・循環器、癌領域を主力分野に事業展開してきた。1999年度の売上高は約300億円だったが、08年度には約900億円にまで成長。特に癌領域は、99年の「ジェムザール」の上市以降、売上構成比率が約1%から約17%までに拡大しており、重要な役割を担ってきた。
09年度は、アリムタが非小細胞肺癌の追加適応を取得したことにより、癌領域の販売をさらに加速させる方針。既にアリムタは、07年1月に悪性胸膜中皮腫の適応で承認を取得していたが、国内患者が約1000人と使用領域が限定されていた。新たに適応症となった非小細胞肺癌は、全肺癌の約7割を占めることから、アリムタの使用促進の追い風になるとし、癌領域の売上比率を全売上高の20%にまで引き上げる。海外では約1100億円を売り上げるブロックバスターだけに、アリムタをジェムザールに次ぐ主力製品として成長させたい考えで、ズルエッタ氏は「3~5年後には、癌領域の売上比率30%を達成できる」と強調し、癌領域でのシェア拡大に向け、全力で取り組む姿勢を示した。
一方、米バイオ医薬品企業「イムクローン・システムズ」の買収により、癌領域におけるグローバルの開発パイプラインは20品目に増強され、後期開発段階には七つの開発品目を有する。ズルエッタ氏は「海外では、リンパ腫、乳癌、胃癌などの適応症で抗癌剤の開発が進められており、日本でも革新的な新薬を開発していきたい」と述べ、次世代の抗癌剤開発にも注力していく方針だ。