厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は16日、抗インフルエンザ薬のリン酸オセルタミビル(タミフル)を服用した10代の患者と異常行動との因果関係について、「明確な結論を出すことは困難」との結論をまとめた。これを受け、2007年3月から実施している、10代への投与制限や、服用時に家族が付き添うといった安全対策を継続することを決めた。安全対策部会に報告される予定。
調査会では、タミフル服用と異常行動などについて調査してきた基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)と、臨床的調査検討のワーキンググループ(臨床WG)が検証結果を報告した。
臨床WGの報告では、07年3月の安全対策措置以前とそれ以降で、異常行動の発現率に有意差はなく、07年からの2シーズンでは、異常行動を発現した10代のほとんどがタミフルを服用しておらず、異常行動はインフルエンザの発症自体に伴い起きる場合があることが、より明確になったとした。
基礎WGでは、動物を用いて中枢神経系や循環器系に対する影響を評価したが、異常行動や突然死などとの因果関係を示す結果は得られなかった。
厚労省では今後も、学会や専門委員会の協力を得ながら、タミフル服用と異常行動との因果関係について情報収集に当たる。