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早期肝癌マーカーとして「HSP70」「CAP2」が有望

2006年10月5日 (木)

 早期肝細胞癌のマーカーとして、Heat Shock Protein 70 (HSP70 )とCyclase-associated Protein 2(CAP2)が有望なことが、第65回日本癌学会で坂元亨宇氏(慶應大学病理学)から報告された。C型肝炎からの癌化では、前癌病変と早期肝細胞癌との鑑別が一つのポイントになるが、坂元氏らが前癌病変と早期肝細胞癌について、網羅的に遺伝子発現を調べた結果、mRNA・蛋白レベルとも、早期肝癌から進行癌へと悪性度が進展するに従って、HSP70とCAP2の発現が高まっていることが明らかとなった。そのため、坂元氏は「早期肝癌の病態を特徴づける分子の一つになり得る」と報告した。

 肝細胞癌の多くは、肝炎ウイルスの持続感染による慢性障害肝を背景に、前癌病変に相当する腺腫瘍過形成から、上皮癌や微小浸潤癌に相当する早期肝細胞癌、その脱分化過程に相当する結節内結節型肝細胞癌、進行肝細胞癌へと多段階的に進展することが分かっている。

 ただ、肝癌の臨床病理学的特徴が明らかになってきた一方で、前癌病変・早期癌における特異的な癌遺伝子・癌抑制遺伝子の異常については、ほとんど明らかにされていないのが現状。

 そこで坂元氏らのグループは、「正常な組織と前癌病変である腺腫様過形成、早期肝癌という段階を特徴づける分子プロファイルはないか」と考え、遺伝子発現プロファイル解析を行った。

 検討は患者材料を用い、脱分化した部分と早期肝癌部分、非癌部を採取して、遺伝子プロファイル解析された。その結果、最も顕著な違いが認められたのが、ストレスに応答して産生されるHSP70 だった。

 正常の胆肝上皮には常に発現している分子だが、多段階発癌過程において発現推移をみると、腺腫様過形成などの前癌病変では陽性にならず、早期肝癌では強い陽性所見を示すことが分かった。また、脂肪肝を強く伴う早期肝癌でも、明らかな陽性所見が認められ、脱分化結節、進行癌でより強く発現することも分かった。

 さらに、約200結節を対象に行った検討では、腺腫様過形成、あるいは境界病変に相当する異型性腫瘍過形成で陽性となったのはごくわずかであったのに対し、早期肝癌、あるいは脱分化した進行癌では、多くの症例が高率に陽性所見を示し、段階的に陽性率も上昇する結果が得られている。そのため、坂元氏は「癌と前癌病変を、比較的明瞭に分けることが可能」だとした。現在、HSP70を診断マーカーとして「コンサルテーション症例や生検症例も含め、実用的に使っている」という。

 一方、早期肝癌で強い発現が認められた遺伝子の中で、HSP70の次に過剰発現が見られたのがCAP2。CAP2は、酵母の変異株解析から見つかったもので、RASの下流でアクチンへの結合とシクラーゼの結合を介して、アクチンの制御に関わっていることが想定されている分子。ヒトでの研究はほとんど行われておらず、癌では全く検討されていなかった。

 そこで、坂元氏らはCAP2に対する抗体を作製し非癌部、早期癌部、進行癌部という悪性度の進展に伴う発現の状態を調べた。その結果、CAP2はほとんどの肝癌セルラインで発現がみられたほか、臨床材料を用いた検討でも、非癌部に比べ癌部で蛋白レベルの発現が亢進していることが確認された。

 さらに、この抗体を用いて組織を染色してみると、平滑筋で常に強い陽性が示された。これを内因性の陽性コントロールとしてみると、多くの前癌病変、腺腫様過形成では陽性になることはなく、癌の進行に伴って発現が強く亢進することが分かった。特に中分化型の癌では、より強く発現が亢進することが確認された。

 坂元氏は、「こうした発癌初期過程の分子異常の解明がC型肝炎からの癌発生の予防、二次予防方法の確立につながることを期待したい」とした。




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