先月からスタートした新販売制度を円滑に進めるため、厚生労働省は新たな取り組みに着手する。消費者モニターが薬局などで覆面調査を行い、不適切な販売実態があれば、各都道府県の相談窓口に情報提供した後、薬局にフィードバックし、改善につなげる。モニターについては、薬剤師や登録販売者がなることも視野に入れているが、具体的な選定方法は「ある特定の組織に頼むことも含め、検討している段階」としている。
新販売制度では、一般薬のリスク分類に応じた情報提供や、薬剤師や登録販売者と一般従事者を区別するための名札の着用、一般薬を販売しない時間帯における陳列場所の「閉鎖」などが求められている。
そのため厚労省は、今年度予算に新規事業として2600万円を「医薬品消費者相談等体制整備」に計上し、改正薬事法施行後に、新販売制度が円滑に実施されているかどうか、薬局での運用状況を調べると共に、その結果をもとに必要な検討を行う。
当初は、リスク分類に応じた情報提供や、店舗内の掲示などに対する薬局の取り組み状況を調査し、報告書をまとめるといった内容が想定されていた。しかし、厚労省は「調査そのものが目的ではない。制度が求めていることが、現場でしっかり遵守されているかを見ることが重要」と判断。事業の枠組みについては「モニターからの情報が、都道府県に設置している窓口に吸い上げられ、それが薬局にフィードバックされる仕組みをイメージしている」とした。
厚労省では、スーパーなどに置いてある“苦情ボックス”のようなものを想定しており、たとえ苦情が寄せられたとしても、「直ちに処分ということは考えていない」と、薬事監視のような厳格な処分にはつなげない意向を示している。モニターによる覆面調査などで、“いつ見られているか分からない状況”になれば、売る側も緊張感を持つようになり、「きちんとやってもらうための環境作りにつながる」と話す。
また、厚労省は「何割の店舗が情報提供などに対応できているかなど、全体のトレンドを公表することも大事」としており、ある期間を区切って相談窓口に寄せられた情報などを公開する可能性もある。