薬事法改正直後の第1類医薬品の販売は、販売店率が急落する一方で、販売店当たりの販売金額は増加傾向にあることが、インテージが行った調査で明らかになった。インテージでは、製薬企業の意欲的なスイッチOTC開発によって、第1類医薬品の新商品が次々と発売されていることが、販売金額の減少を食い止めていると分析している。
薬事法改正によって、第1類医薬品は薬剤師しか販売できず、薬剤師不在時は売場を閉鎖しなくてはならなかったり、オーバーザカウンターでの販売などが重なって、落ち込みが予想されていた。
調査はその影響を調べるために、薬事法改正後4週間が経過した時点で、インテージのパネル調査「SDI(全国の薬局・薬店1200店を対象に、販売動向に関するPOSデータを収集・分析するサービス)」を用いて、1週間単位で分析された。
それによると、第1類医薬品の販売金額は、5月25日からの1週間が9億7600万円、6月1日の週が8億5000万円、6月8日の週が7億7900万円と2週連続で低下した。その後、6月15日の週が8億4300万円、6月22日の週が8億5300万円と下げ止まった。
第1類医薬品の販売店率に関しては、5月25日週までは83%で、2008年の販売店率の83~84%と同様であったが、6月1日週が72%、6月8日週が68%と大幅に下がったことが認められている。その後も、横ばいで推移している。
第一類医薬品販売店率の低下を裏付けるように、ドラッグストア企業へのヒアリングでは、薬剤師を集中させて第1類医薬品を販売する店舗と、登録販売者の管理で第2類、第3類の販売をする店舗に、はっきりと分けている企業が多かった。ドラッグストアによっては、第1類医薬品を販売する店舗を30%程度まで落としているところもあった。その一方、全ての店舗で第一類医薬品を扱っているドラッグストアもあるなど、ドラッグストア企業によって対応が大きく異なっている状況も明らかになった。
地域別では、京浜、東海、近畿など大都市圏を抱える地域では落ち込みが少ない一方、薬剤師の確保が難しい北海道、東北、関東、北陸・信越、中国、九州地域では販売率の低下が大きく、地域差が浮き彫りになった。
ただ、販売店当たりの第1類医薬品販売金額は、わずかだが増加傾向にあった。具体的には、5月25日週が2万4420円、6月1日週が2万4821円、6月8日週が2万4110円、6月15日週が2万4606円、6月22日週が2万6196円だった。
販売店率が低下しているにもかかわらず、第一類医薬品の販売金額が増加している要因として、インテージでは「製薬企業の意欲的なスイッチOTC開発によって、第1類医薬品の新商品が次々と発売されており、これが販売金額の減少を食い止めていると思われる」と分析。ただ、全ての第1類医薬品が伸びているわけではなく、「大きく販売額を減少させているブランドや、逆に伸長しているブランドもあり、明暗が分かれている」とも指摘した。
さらに、薬事法改正後4週間の推移を見ても、第1類医薬品は大きな変化が始まっており、「今後、第1類を販売している店舗と、第2類、第3類のみの店舗では、薬効によって売れ筋商品が変わってくることも考えられる」としている。