テーラーメイド創薬を支援するメディビックは、遺伝子解析を用いて新薬開発を行うバイオマーカ創薬支援事業を本格化する。特にファーマコゲノミクス(PGx)事業は、実施環境の基盤が整備されてきたことから、製薬メーカーの受託プロジェクト数が急増。これまで検体収集からDNA解析まで、PGx事業の実施体制を8年にわたって整備してきたが、2009年12月期上半期には、バイオマーカ創薬支援事業の黒字化を達成するなど、収益化を目指す段階を迎えた。
同社は、創業以来、テーラーメイド創薬を提唱し、遺伝子解析を活用した医薬品開発の戦略立案から臨床試験の計画・準備、データ解析、申請まで、PGxのトータルソリューションサービスを展開。特に06年には、国内最大級の検体保管施設を有する神戸臨床研究情報センター(TRI)の施設を活用し、検体の処理からDNA解析まで、GLP準拠でPGxを実施できる体制を完備していたが、国内では欧米に比べて5年程度PGxの取り組みが遅れていた。
しかし、ようやく今年になって、日本臨床検査医学会・日本人類遺伝学会・日本臨床検査標準協議会の三者による「ファーマコゲノミクス検査の運用指針」が公表されるなど、PGxに関する基盤が整備されつつある。こうした動きを受け、新規の製薬メーカーからPGx事業に対する問い合わせがあるなど、受託プロジェクト数は増加傾向にある。
18日の中間決算説明会で、橋本康弘社長は「かなりPGxの基盤整備は整ってきており、やっと事業を本格化できる」と手応えを語った。実際、創業以来8年にわたって、受注体制の強化に先行投資を続けてきた同社だが、09年12月期上半期には、バイオマーカ創薬支援事業の黒字化を達成した。
橋本氏は「今まで検体保管やDNA解析など、社内の受託体制に資金を投入してきたが、PGx事業の認知度も高まり、先行投資を売上に変えていくステージに来た」との認識を示し、バイオマーカ創薬支援事業を本格化していく方針を明らかにした。
バイオマーカー創薬支援事業の売上高は、09年12月期上半期で1億円。通期では2億円を予定し、連結売上高5億4900万円の3分の1を占める事業となる模様。