市場調査会社の富士経済は、2016年の国内医療用医薬品市場が約8兆円まで成長するとの予測をまとめた。それによると、医療費抑制のための診療報酬や薬価引き下げなど、市場環境は厳しくなるとしながらも、団塊世代の高齢化で患者増が見込まれる抗リウマチ剤、泌尿器疾患治療剤などが伸長し、市場の成長が見込まれると分析している。
調査では、泌尿器疾患治療剤、骨・関節疾患治療剤を注目市場に挙げている。特に、新製品上市が相次ぐ過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤は、「ベシケア」が08年には市場の38%を占めるまでに急成長していると指摘。16年には08年比226・4%の1080億円に達すると予測した。
前立腺肥大症治療剤は、05年に「ハルナール」のジェネリック医薬品が発売されたものの、長期処方が可能になった「ユリーフ」が貢献して、16年には同165・3%の1380億円、泌尿器疾患治療剤全体では同178・5%の2510億円に拡大すると分析している。
また、骨・関節疾患治療剤は、最も市場規模が大きい外用消炎鎮痛剤に加え、骨粗鬆症治療剤はビスフォスフォネート製剤やSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)製剤が市場拡大を牽引すると指摘。特に、抗リウマチ剤は寛解を目標とすることが可能となった生物学的製剤の急成長を見込み、08年に抗リウマチ剤市場の68%を占めるまでになった生物学的製剤の割合がさらに増加し、16年には同211・5%の1950億円と予測している。
これらの結果、国内医療用医薬品市場は、患者増や疾患治療概念の掘り起こしなどによって、同118・2%の7兆9642億円に拡大すると分析している。