独ベーリンガーインゲルハイムは、経口抗凝固剤「ダビガトラン」の大規模臨床試験「RE‐LY」で、脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクを有意に低下する成績が得られたと発表した。対照薬のワルファリンに対し、ダビガトランの有効性、安全性で優越性が示され、主要評価項目を達成している。成績は、8月30日に欧州心臓病学会議で発表された。
RE‐LYは、ダビガトランの脳卒中発症予防効果を検討するため、世界44カ国、900施設以上で1万8113人の心房細動患者を対象に実施された国際共同第III相試験。ダビガトラン投与群とワルファリン投与群に無作為割付を行った上で、脳卒中または全身性塞栓症の発症を主要評価項目に設定し、ダビガトランの長期有効性と安全性が検討された。
その結果、ダビガトラン1回150mg1日2回投与群は、ワルファリン投与群に比べて大出血リスクを増加させずに、心房細動患者の脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクを34%低下させ、優越性を示したことが分かった。1回110mg1日2回投与群では、ワルファリン投与群と比べて、脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクを同程度に抑制し、大出血の発症を20%低下させた。
また、ダビガトランは、出血性脳卒中の発症リスクを有意に低下させると共に、血管死を有意に減少させるなど、主な副次評価項目でワルファリンに対する優越性が示されている。安全性についても、ダビガトラン投与群は150mg、110mgの両用量群ともに、頭蓋内出血や全ての出血の発症が有意に低下する成績が得られた。