厚生労働省は2日、2007年度国民医療費が過去最高の34兆1360億円となったことを発表した。前年度と比べると3・0%の増加で、診療報酬改定や大きな制度改正がなかったことから、自然増に近い伸びとなった。国民所得に対する比率は9・11%で、0・24ポイント上昇した。調剤薬局分の医療費は前年度に比べ、8・8%増加して5兆円を突破。病院の入院外医療費に迫る水準となった。
国民医療費は、医療保険医療費や公費負担医療費のほか、保険給付で支給される移送費等を含んでいる。財源としては保険料が49・2%を占めて最も多く、公費負担が36・7%、そのほか患者負担などが14・1%となっている。
厚労省によると、伸び率のうち1・5%が高齢化に伴うもので、残る1・5%は医療の高度化など、その他の影響としている。
診療種類別にみると、一般診療所と病院の一般診療医療費が25兆6418億円で、全体の75・1%を占める。内訳は、入院が12兆6132億円(病院12兆1349億円、診療所4782億円)、入院外が13兆0287億円(病院5兆1753億円、診療所7兆8534億円)となっている。
次に多いのが薬局調剤の5兆1222億円で、構成割合は全体の15・0%と拡大した。以下、歯科診療所2兆4996億円、入院時食事・生活8206億円、訪問看護518億円となっている。
年齢別では、65歳以上が17兆7439億円で、全体の過半に当たる52・0%を占める。65歳未満では、45歳以上が9兆0732億円、15~44歳が4兆9920億円、0~14歳が2兆3269億円だった。
1人当たり医療費は、平均26万7200円で前年度から3・0%伸び、65歳未満は3・2%増の16万3400円、65歳以上は3・9%増の64万6100円で、4倍の格差がある。
このうち調剤薬局分は、平均4万0100円で9・0%伸び、65歳未満は11・7%増の2万8600円、65歳以上が3・1%増の8万2000円で、現役世代の伸びが大きいものの、依然として2・9倍の格差がある。
一般診療医療費を傷病別にみると、循環器系疾患が5兆4353億円で最も多く、以下、新生物3兆0716億円、腎尿路生殖器系疾患2兆1389億円、呼吸器系疾患2兆1191億円、精神・行動の障害1兆9378億円と続く。65歳未満では循環器系、新生物、呼吸器疾患で3分の1を占め、65歳以上は循環器系疾患で3割弱を占める。