厚生労働省医薬食品局総務課は、改正薬事法施行で大きく変わった一般薬の販売方法に関するQ&Aの作成作業を進めている。Q&Aには、都道府県からの問い合わせが多く寄せられている、薬局や薬店内で掲示すべき事項をはじめ、店舗で医薬品を販売しない時間がある場合の「閉鎖」の方法、ネット販売などが盛り込まれる見込み。医薬食品局では、「できるだけ早く作成し、皆さんにお示ししたい」としており、作業が済み次第、都道府県に通知する予定だ。
医薬食品局は、新販売制度のスタートを間近に控えた5月8日、改正薬事法に関する局長通知を発出している。2月に公布された厚労省令の内容を補足したもので、一般薬のリスク分類に応じた情報提供や陳列の方法、店舗販売における管理者要件、薬局の構造設備などについて細かく規定している。
しかし、施行通知発出後も「都道府県から、こういうケースはどうなのかといった相談がきている」(熊本宣晴総務課長)ことから、制度の円滑施行につなげるため、Q&Aを作成し、行政としての統一的な見解を示すことにした。
改正薬事法施行後の課題をテーマに8日、都内で講演した総務課の高江慎一課長補佐は、都道府県から問い合わせが寄せられている、▽薬局等における掲示事項▽閉鎖の方法▽郵便等販売に係る広告--などに対する厚労省の見解を示した。
薬局内には、第1類薬から第3類薬までの一般薬の分類情報や、情報提供の方法をポスターなどで掲示することが義務づけられているが、一般薬を販売していない調剤専門薬局や、第2類薬、第3類薬しか取り扱わない店舗からは、「取り扱いのない医薬品について説明したポスターなどを掲示すると、混乱が生じるのでは」と、懸念する声が上がっているという。
これに対し高江氏は、「薬局における掲示」そのものが新販売制度の周知を兼ねているという観点から、たとえ取り扱いはなくても「掲示はしていただく」との考えを示した。
また、医薬品を販売しない時間帯の「閉鎖」の方法については、「売り場の状態にもよるため、一概には言えない部分があり、あくまで現場の判断」とした。施行通知では、シャッターやパーティション、網掛けなどが閉鎖の方法として挙げられているが、「物理的に購入できないという理念が守られるかどうかを、判断の基準にしてもらいたい」と説明した。
これらの項目はQ&Aに盛り込まれる予定で、医薬食品局も、作成作業を急いでいる。また、都道府県の担当者を集め、改めて周知徹底を行うかどうかについては、「いまのところ念頭に置いていないが、Q&A作成後に状況を見て対応したい」との考えを示した。