健康保険組合連合会は11日、2008年度健保組合決算見込みを発表し、各組合の決算を便宜的に連結すると、単年度では3060億円の赤字で、黒字だった前年度から大幅に財政が悪化したことを明らかにした。被保険者数が増加し収入が伸びた一方、高齢者医療制度に対する拠出金や納付金等が膨らんだことがことが要因。
健保連の対馬忠明専務理事は、「09年度も拠出金負担は変わらず、さらに給付費の増加が懸念され、賃金・賞与も予算で見積もった以上に厳しい。健保組合制度の存亡に関わる」と警戒心を強め、次期診療報酬改定について、「全体を底上げする状況にはない」と、従来からの主張を改めて表明した。
昨年度末における組合数は1497組合で、1年前に比べて21組合減った。被保険者数は1604万人で27万人増えたが、被扶養者が55万人減って1420万人となり、全加入者数は減少した。保険料率は平均73・80‰で0・72ポイント上昇。全体の2割弱に相当する276組合が、協会けんぽの料率82・0‰を超える水準を設定していた。
組合の財政状況を便宜的に合計すると、収入は合計6兆3717億円で、前年度から1714億円(対前年度比2・8%)増加した。平均標準報酬月額と平均標準賞与のいずれも落ち込んだものの、被保険者数の増加や、保険料率引き上げによって保険料収入が1434億円伸びたため。
支出は、合計6兆6778億円となり、5375億円(8・8%)増加した。保険給付費は992億円の増加にとどまったものの、高齢者医療を支える拠出金・納付金が、4251億円の大幅増となったことが影響した。特に、74歳以下の前期高齢者医療制度に対する拠出金等が、3272億円増と負担を押し上げ、拠出金等の保険料収入に対する比率は6・0ポイント上昇し、過去最高の44・3%となった。
収支差は、03年度以降の小康状態から赤字に転落。前年度の60億円の黒字と比べると、3660億円悪化したことになる。組合単独の決算状況をみても、赤字組合数は347組合増の1030組合で、全体の7割弱を占める。