厚生労働省の千村浩研究開発振興課長は、国内の治験全体を活性化する有効な手段の一つとして、国内での実施件数が増えている国際共同治験の推進を挙げ、「そのための、様々なサポートをしていきたい」との方針を示した。都内で開かれた北里・ハーバードシンポジウムで講演したもの。
千村氏は、欧米と比較して圧倒的に少ない国際共同治験の実施件数が、厚労省によるガイドライン作成などの後押しもあって、増えていることを指摘。
2007年に治験全体の7・5%を程度だったものが、08年には15・6%にまで増えていると数値を示し、「当然、国内の治験環境整備などが必要だが、国際共同治験を増やしていこうという考え方が、治験全体を押し上げる上で重要なポイントになるのでは」と述べた。
臨床試験は、国内での実施件数が年々減る一方で、海外で先行して行われる臨床試験が増加傾向にあり、治験の空洞化が進んでいる。
千村氏は、「引き続き、国際共同治験を後押しするためのサポートを進めたい」とし、今年度事業として1200万円が計上された「日米欧3極治験相談推進事業」などを通して、国際共同治験を進める体制整備を支援する考えを示した。
また、厚労省が作成した「新たな治験活性化5カ年計画」が、中間点を迎えたことを受けて設置された「新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会」についても言及し、「これまでの評価を行い、今後の計画の見直しを進めているところ。ここでの議論を見据えながら進めていきたい」と述べた。