厚生労働省は、2008年度以降の新薬算定状況を中央社会保険医療協議会薬価専門部会に提出した。それによると、08年度薬価制度改革で補正加算の加算率引き上げ、有用性加算の要件緩和を行ったにもかかわらず、類似薬効比較方式を適用した品目の薬価が、外国平均価格より依然として1割低いことが分かった。また、新薬算定で比較薬に用いた既収載品の薬価の内外価格差が、過去5年間で拡大していた。
08年4月から今年9月までに収載された新薬で、類似薬効比較方式を適用した成分は48件。このうち26件を外国価格と比べたところ、外国平均価格に対する比率の平均値は90・2%で、19件が外国平均価格を下回った。薬価制度改革前の06年4月から07年12月収載分の対外国平均価格比の平均値も90・2%だったため、内外価格差の水準は変わっていなかったことになる。
補正加算の状況については、有用性加算を適用した成分の数は、改革前22件、改革後21件と大きな変化はみられなかった。しかし、より評価の高い有用性加算(I)の適用件数が減り、平均加算率は改革前の15・0%から改革後に11・7%へ低下した。
市場性加算の適用数は、4件から10件に増加し、このうち6件が制度改革によって新たに加算が適応された。平均加算率は4・8%から10・0%に上昇したが、制度改革によって可能になった20%の加算が付いたのは1件だった。
厚労省医療課は、「補正加算が適用された品目には既存品を改良したものが多かったため、低めの加算率が適用されたことが考えられる」と要因を分析。
ちなみに、原価計算方式で算定した新薬の外国平均価格に対する比率は、改革前の96・2%から100・0%に改善している。
また、類似薬効比較方式で比較薬に用いた既収載品23品目の薬価について、日本と米、英、独の欧米4カ国における05年以降の推移をみると、日本では全ての比較薬で価格低下がみられ、平均下落率は2・2%だったが、欧米は、米国での価格上昇が影響して平均的に価格が上がった。
国別にみると、米国は全品目が値上がりして平均8・0%の上昇。英国は変化がないものが多いが、概ね数%の範囲内で上下し、平均0・4%低下。ドイツは値上げ品目が多く、平均0・7%の上昇。フランスは下落品目が多く、平均1・1%低下している。