薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会は16日、破骨性腫瘍の疼痛緩和に用いる「ストライカー脊椎専用骨セメント」(申請者:日本ストライカー)、脊椎圧迫骨折の疼痛緩和に用いる「KYPHON BKP骨セメントHV‐R」(メドトロニックソファモアダネック)と専用の充填キット「同BKPシステム」、左心室補助人工心臓システム「植込み型補助人工心臓HeartMate-XVELVAS」(ニプロ)の製造販売承認と、気胸治療に用いる「気管支充填材」(原田産業)を希少疾病用に指定することを了承した。いずれも次回の薬事分科会に報告する。
「ストライカー脊椎専用骨セメント」は、転移性骨髄腫瘍や骨髄腫などの悪性脊椎腫瘍による有痛性椎体骨折で、医療用麻薬等の既存療法に奏効しない症例に対し、経皮的椎体形成術に用いて疼痛の軽減を図ることを目的としたアクリル製整形外科用セメント。
人工関節の固定用に骨セメントは広く使われているが、脊椎の中に経皮的に直接注入する製品としては前例がない。厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会」で、優先的に国内導入する機器の一つに選定されていた。
ただ、使用方法が難しいため、承認条件として、▽訓練を受けて手技に精通する医師が使用▽適格な医師を有して緊急時の対応が可能な医療機関で実施▽市販後使用成績の全例調査――が付された。
「BKP骨セメントHV‐R」は、ストライカー脊椎専用骨セメントと同様の新たな経皮的注入骨セメント。ただ、適応症は異なり、原発性骨粗鬆症による1椎体の急性期脊椎圧迫骨折で、保存加療でも疼痛が改善されない患者の、骨折した推体高の復元に用いる。また、骨折推体内に空洞を形成してから骨セメントを注入する専用の器具とセットで使用する。
承認条件も、ストライカー脊椎専用骨セメントとほとんど同じだが、市販後使用成績調査は全例ではない。
なお、日本整形外科学会で適正使用のためのガイダンスを作成することとなっている。
「HeartMate-XVELVAS」は、ノバコアが国内新規販売を中止したため、国内唯一の植込み型人工心臓となる。薬物療法や既存の保持循環法では継続した代償不全に陥った重症心不全患者で、心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例に用い、ブリッジ使用には限定しない。
希少疾病用医療機器の指定を受けているため、再審査期間は7年。
承認条件として、▽市販後使用成績の全例調査▽学会と連携して設ける基準を満たす医療機関、医師が実施▽医療従事者、患者、介護者に対するサポートを徹底して十分なサポート体制を構築――が付された。
希少疾病用医療機器への指定が決まった「気管支充填材」は、外科手術が困難な継続性難治性気胸や有瘻性膿胸、肺切除後の遷延する気漏、多臓器との気管支瘻の患者が対象で、推定患者数は年間1725例。
外科手術が困難な気胸等の場合、持続的な胸腔ドレナージが必要になるが、患者のQOL低下、意図しないドレナージ抜去による呼吸不全、感染症の合併といったリスクがあるが、同製品を気管支に充填することで、QOL低下や疾患リスクを軽減することができる。承認されればドレナージ法に取って替わる可能性もある。
なお、日本発の技術だが、薬事承認はEUで先行して取得している。