厚生労働省の先進医療専門家会議は20日、▽網膜芽細胞腫の遺伝子診断▽HDRA法またはCD‐DST法による抗悪性腫瘍感受性試験――の2件を、新たな先進医療として保険診療と併用することを了承した。
網膜芽細胞腫は眼球内に発生する悪性腫瘍で、小児癌の約3%を占める。
今回の技術は、同腫瘍の約30~40%が遺伝性であることに着目して、既に保険適用となっている染色体検査に加えて発端者診断、保因者診断を行う点が特徴。発端者診断では、家系で最初に遺伝子診断を受けた患者(発端者)について、遺伝子異変を同定し、遺伝性か否かを調べる。保因者診断では、発端者の血縁で未発症の人について遺伝子診断を行い、異変が認められた人(保因者)に対して、眼底検査等を頻回に実施して早期発見、早期治療に努める。費用は発端者診断が約15万円、保因者診断が約4万8000円。
抗悪性腫瘍感受性試験は、進行癌患者から採取した腫瘍組織を検体にし、抗癌剤に対する反応性を予め評価する技術で、適切な抗癌剤の選択や不要な副作用を防止することができる。適応症は根治度Cの胃癌を除く消化器癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、癌性胸・腹膜炎、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌。
同技術は、検査の外部委託を前提としている。患者を診ている医療機関が、腫瘍細胞を採取し、検査を担当する医療機関に検体を冷凍搬送すると、受託側で培養処理を行った上で検査を実施し、委託側に報告書を戻すという流れ。個人情報に配慮して患者情報は識別番号で表示する。費用は委託費を含めて約8万3000円。