長妻昭厚生労働相は26日、中央社会保険医療協議会委員の人事を発表した。焦点の診療側委員は、日本医師会や日本薬剤師会執行部から選らぶ慣例を改め、民主党の医療政策に合致する人材を一本釣りした。薬剤師を代表する委員には、札幌薬剤師会会長で日薬理事の三浦洋嗣氏が就任する。長妻厚労相は、三浦氏を充てた理由について、「かつては病院での調剤経験を有し、病院の事情もよく分かっている」と述べ、入院診療報酬の引上げを掲げる政権公約に沿った人選であることを説明した。
今回の中医協委員改選により、3名分あった日医執行部の席が無くなった。代わって入ったのが、京都府医師会副会長の安達秀樹氏、茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏、山形大学医学部長の嘉山孝正氏だ。これにより、診療所、病院の委員構成は、2対3から3対2に変わった。
安達氏は、日医の社会保険診療報酬検討委員会の委員を務め、長妻厚労相は、「診療報酬については大変な権威」と称した。
鈴木氏は、総選挙で民主党を全面的に支援した茨城県医師会から推された形だが、長妻厚労相は「地方で医師不足が顕著な所から任命した」と説明。また、安達氏が西日本で都市部、鈴木氏が東日本で地方というバランスにも配慮したという。
嘉山氏の起用は、大学医学部の意見を改定論議に取り入れることが目的。同氏は、全国医学部長病院長会議の中心メンバーで、舛添要一前厚労相の肝入りの「『安心と希望の医療確保ビジョン』具体化に関する検討会」にも参加していた。
また、専門委員にも変化があった。任期を残していた国立長寿医療センター総長の大島伸一氏がナショナルセンターの独立行政法人化の準備に傾注することを理由に辞任したため、日本放射線技師会会長の北村義明氏と入れ替えた。癌対策に力を入れる党の方針を踏まえて、放射線技師を初めて中医協へ参加させる。
今回選ばれた委員は次の通り。
【診療側】▽安達秀樹(京都府医師会副会長・新任)▽嘉山孝正(山形大学医学部長・新任)▽鈴木邦彦(茨城県医師会理事・新任)▽西澤寛俊(全日本病院協会会長・再任)▽邉見公雄(全国公私病院連盟副会長・再任)▽三浦洋嗣(日本薬剤師会理事・新任)
【支払側】▽白川修二(健康保険組合連合会常務理事・新任)▽中島圭子(日本労働組合総連合会総合政策局長・新任)▽高橋健二(全日本海員組合中央執行委員・再任)※中島氏は10月21日付で任期切れとなった小島茂氏の後任。
【専門委員】▽長野明(第一三共株式会社常務執行役員信頼性保証本部長・再任)▽禰宜寛治(武田薬品工業株式会社コーポレートオフィサー業務統括部長・再任)▽松谷高顕(東邦ホールディングス株式会社代表取締役会長・再任)▽松村啓史(テルモ株式会社取締役専務執行役員・再任)▽松本晃(前ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社最高顧問・再任)▽森清一(株式会社エムシー代表取締役社長・再任)▽北村義明(日本放射線技師会会長・新任)