武田薬品工業の長谷川閑史社長は10月30日、都内で開いた中間決算説明会で、業績を牽引してきた抗潰瘍薬「タケプロン」や糖尿病治療薬「アクトス」の米国特許切れを間近にして、「特許切れに対する答えが明確に出し切れていない」とし、さらに企業体質の強化、効率性追求、ビジネスデベロップメント活動強化を図る考えを示した。M&Aについても「パイプラインや地域的カバーのシナジー、経営スタイルの近似性に重きを置き、いいターゲットがあれば積極的に前に進みたい」とすると共に、特許切れ問題や新興国市場進出などの課題を克服するため、「従来以上に可能性を追求する必要性もある」と強調した。
ビジネスデベロップメントなどの取り組みについては、「具体的な形として、そう遠くないうちに示せるよう努力したい」とし、これら取り組みが「従来にも増して、生き残りを左右する重要な課題」との認識を示した。
また、長谷川氏は、今後も国内シェアトップのポジションを堅持しつつ、米国、欧州、アジアでの未進出地域への展開を積極的に加速させ、プレゼンスを強化していく考えを示した。その中で、世界をリードしてきた米国市場の成長が、「マイナスに転じる事態も生じている」とし、今後は新興国についても市場規模、成長性の高いエリアへの進出を基本に展開していく考えを示した。
特に中国市場について、「規模は日本の半分程度だが、25%を超える成長を続けている。当社は、そうした市場で成長の果実を摘み取るという点で、他社に大きく後塵を拝している。早急に立て直さなければいけない」と強調。他の新興国市場についても、「ブラジルはTPNA、インドはTPアジアがそれぞれテリトリー。本社と共同で、取り組みのタイミングを検討している」とした。
一方、DPP‐4阻害剤の米国FDAの承認で、「サクサグリプチン」に先を越された形になる「SYR‐322」について、「結果として、(心血管疾患)患者が必要数含まれていなかった。現在行っている試験で、十分に安全性は証明できると確信している」とし、「われわれもFDAに対し、言いたいことはあるが、後に申請したほうが、先に許可が取れたのは厳然たる事実。今後、これを繰り返さないようにしたい」と述べるにとどめた。