新型インフルエンザの感染が拡大しており、国内でも重症化や死亡例が確認されている。当初は、それほど心配していなかった人でも、連日の報道などで不安感が募っているのが実情だろう。実際に、このほど東京都がまとめたアンケート結果を見ても、新型インフルエンザに関して「不安がある」という人は、9割近くであった。
同調査は、都のインターネット福祉保健モニターに登録している20代以上の都民を対象に、9月に実施した。320人のモニターのうち、有効回答数は192人(男性103人、女性89人)
新型インフルエンザへの不安については、44・8%が「非常にある」、42・2%が「少しある」とし、合わせて87・0%が不安を抱いていた。具体的な不安内容としては、▽家族や友人に感染させるかもしれない▽重症化するかもしれない▽治療方法が分からない――など。最も知りたい事柄としては、「治療方法・治療薬」が32・8%、次いで「受診可能医療機関」の24・0%が続いた。
情報収集手段について、三つまでの複数回答で聞いたところ、最も割合が高かったのが「新聞」で84・9%、次いで「テレビ」が83・3%、「インターネット」が57・3%。自由意見では、罹患者数などの最新情報の迅速な提供のほか、「まだ咳エチケット(マスクをしたり、口と鼻をティッシュなどで覆う)をしていない人が多く見受けられるので、広く人々に知らしめてほしい」なども見られた。
新型インフルエンザの流行に伴い、今年はマスクの需要が増加している。最近では「ウイルス99%カット」など、高機能を標榜する商品も数多く見受けられるが、国民生活センターが先月発表した、ウイルス対策をうたったマスクのテスト調査では、表示されているフィルターの捕集効率に疑問の製品も、一部に見られたという。
このテスト結果で注視したいのは、マスクと顔との間に隙間ができることで、フィルターの捕集効率が高い製品でも漏れがあり、ウイルス等の微粒子を完全に遮断できない可能性があることだ。過度に効果を期待させるような表示を改善していくことはもちろん必要だが、正しい着用方法の記載をはじめ、表示に関するさらなる基準づくりも、業界には期待されている。
一時は品切れの状況も見られた薬局・薬店、ドラッグストアの店頭も、現在は大包装の製品なども含め、供給面では問題がないように感じる。しかし、以前にも増して各種製品が並ぶ中で、店頭の情報はというと、製品のパッケージに頼ることが多くなる。
新型インフルエンザの予防という点では、マスクの効果が発揮できるよう、正しく着用することが、まず重要となる。できるだけマスクと顔の間に隙間なく着用できるように、価格よりも自分の顔のサイズ、形に合ったものを選ぶことが大切で、こうした啓発を店頭を通じて積極的に行っていくことも、専門性の発揮に結びつくはず。店頭からの情報発信も、予防には大きな力となるはずだ。