日本OTC医薬品協会は、インテージと共同で行った第2回「薬事法改正に伴う消費者調査」の結果をまとめた。それによると、OTC医薬品の販売制度が変わることの認知率は7割を超え、改正薬事法施行前に実施した前回調査(今年2月27日~3月4日)の認知率26%を大きく上回った。特に、「薬剤師や登録販売者のいるスーパーマーケットやコンビニエンスストアで薬が買える」など、薬の購入チャネルに関する認知が高かった。一方で、「OTC医薬品」や「スイッチOTC」といった言葉の認知率は、前回調査と変わらずに依然として低い状況のままで、OTC薬協では「OTC薬関連メーカーはもちろん、各種メディアや流通関係者に協力をいただいて、消費者の理解を進めていく必要性がある」としている。
第2回調査は10月30日~11月5日にWeb調査で行われた。対象は、医薬品製造・販売・流通・調査会社・マスコミ・広告代理店を除く、15~69歳の男女個人。
回答のあった男女各600人の調査結果によると、販売制度が変わったことに対しては、71.1%が「知っていた」と回答。前回調査の26.1%から大幅に増加した。
新販売制度で変わったポイントとしては、「薬剤師や登録販売者のいるスーパーマーケットやコンビニエンスストアで薬が買える」が54.7%、「インターネットなどの通販で買えるOTC薬が制限される」が48.8%と、薬の購入チャネルに関する認知率が高いという結果だった。
それに対して、「OTC医薬品」という言葉の認知率は14.2%(前回調査:15.7%)、「スイッチOTC」は4.2%(3.8%)で、前回調査と比べて変化は見られず、依然として低い認知率にとどまっている。
「セルフメディケーション」については、言葉の認知率は21.0%で、前回の18.0%から若干上昇がみられている。また、実践していることでは、「日常の食生活に気をつけること」が47.8%、「規則正しい生活を送ること」が44.4%、「血圧や体温などを測定して普段から体調管理を行うこと」が37.0%など、予防に関しての実践が上位を占めた。それに対して、「軽度な体の不調はできるだけOTC薬で対処する」は8.0%と低く、対処に関する実践度は予防に比べて低く、自己責任で対処する意識を喚起する必要性が示唆される結果となった。
また、「セルフメディケーション」とはの説明文を示した上で、その必要性について聞いたところ、「必要だと思う」は36.0%で、前回よりも5ポイントほど高くなった。「やや必要だと思う」を合わせると、77.0%(前回:75.0%)が必要と考えていた。ただその一方で、実際にセルフメディケーションを実践しているかでは、「実践できている」は7.0%にとどまり、「まあ実践できている」を加えても46.0%と、頭では理解していても、実際に実践している割合は低く、ギャップがあった。
セルフメディケーションに取り組むことへの心配として、「自己診断に自信が持てない」33.9%、「自分で対処できるかどうかの判断に自信が持てない」28.9%、「OTC薬に関する情報や知識がない」25.5%などが挙げられており、セルフメディケーションを進めるためには、相談サポート体制などのさらなる充実が待たれる結果となった。
実際、体調や薬について相談できる人については、「家族」が46.2%で最も多く、次いで「かかりつけの医者」が45.8%で続いている。「かかりつけの薬局・ドラッグストアの薬剤師」は6.9%、「かかりつけの薬局・ドラッグストアの店員」は1.3%と1割にも満たず、薬剤師や登録販売者は、相談対象としては遠い存在にとどまっている結果だった。
6月以降の薬の購買環境について、薬局・ドラッグストアで経験したこととしては、「第1類薬~第3類薬の分類表示」(32.2%)、「棚の一部商品が空箱になっている」(27.1%)、「一部の薬が直接触れられない棚やケースに置かれている」(20.8%)などが上位となった。「薬剤師が不在で、第1類薬が買えなかった」という経験をした人は10.6%だった。
また、6月以降、薬剤師から何らかのアドバイス・情報提供を受けた人は4割程度にとどまっていた。提供された情報としては「薬の使用方法」が20.5%で最も高く、「薬の使用上の注意」「自分の症状にあった薬の情報」などが続いている。それらのアドバイスや情報提供を受けた人の評価では、「役立った」「安心した」「理解が進んだ」など好意的な意見が上位を占め、「煩わしかった」「ためらいがあった」「恥ずかしかった」といった否定的な意見は、いずれも1割を下回った。