ココカラファインホールディングスとサークルKサンクスは21日、新業態店の開発やコラボ出店などを柱とする業務提携を行うことに合意したと発表した。ドラッグストアとコンビニエンスストアを融合した新業態店「ヘルスケアコンビニ(仮称)」については、2010年度下期に実験店をオープンさせ、11年度には拡大展開し、12年度には全国での本格展開を図っていく考えだ。また、コラボ出店に関しては、処方せん・調剤薬局店頭を活用した「ミニコンビニ(仮称)」の出店など、新たなスタイルを検討していく。
今回の業務提携は、新業態店の開発やコラボ出店に加え、オリジナル商品の共同開発やマーチャンダイジング(MD)相互支援、登録販売者資格取得支援などを目的とした、広範な業務提携となる。今後、両社が共同、協力して、双方が有するノウハウ、インフラなどをフル活用することで、新たなマーケットの開拓と、チェーントータルの集客力・収益力強化を目指す。
新業態店「ヘルスケアコンビニ」では、ドラッグストアとコンビニエンスストアが提供している価値を、一つの店舗で提供していく。OTC医薬品の販売や調剤の受け付け、セールスカウンターによるサービス商品の販売、料金収納のサービスといった機能を兼ね備えた店舗にしていきたい考えだ。
今後のスケジュールとしては、10年度上期に店舗内容などの検討を進め、10年度下期には実験店をオープンし、プロトタイプを確立させる。11年度には、20店舗程度を想定した店舗の拡大を図り、12年度には本格展開として全国に拡大、年間50店舗を予定している。実験店から店舗拡大までは、成果の検証も含めて、既存のドラッグストアにコンビニエンスストア機能を付加していく階層タイプで進める。その上で、12年度の本格展開を描いているが、既存店舗ばかりでなく、新規出店も視野に入れている。
コラボ出店については、処方せん・調剤薬局を活用した「ミニコンビニ」の出店のほか、コンビニエンスストア内への「ミニドラッグ(仮称)」の出店、処方せん・医療用医薬品の受け渡し拠点としてのコンビニエンスストアの活用など、新たなスタイルの確立を検討していく。一つのパターンに当てはめるわけではなく、店舗ごと、あるいはマーケットごとの特徴に合わせ、最適なコラボ出店を進めていく方針で、年間に約20店舗の出店を行う予定。
新たな商品・サービス開発と共同販促活動では、両社の売れ筋商品情報を共有・活用することで、既存のドラッグストア、コンビニエンスストアに、双方の売れ筋商品・カテゴリーを導入する。また、ヘルス&ビューティケア(H&BC)やファーストフード、デイリーフーズなど、両社が得意とする商品カテゴリーについて、商品改廃・棚割り・物流・販促などに及ぶ、トータルのマーチャンダイジング支援を相互に実施し、コーナー展開による売り場の活性化を目指していく。
コンビニエンスストアの雑貨売場に、ドラッグストアのH&BC、値ごろ感のある価格政策、季節マーチャンダイジング、陳列、販売方法など、全てのマーチャンダイジングをトータルに導入。女性客の利用促進を図り、コンビニエンスストア既存店の活性化につなげたいとし、11年度後半から12年度にかけて、約2000店舗でコンビニエンスストア雑貨売場のドラッグストア化を図る考えだ。
人材の育成と交流については、▽ココカラファインが実施する「登録販売者」試験対策研修を、サークルKサンクスのコンビニエンスストア加盟者や従業員、本部社員にも開放する▽新たに「登録販売者資格合格パッケージ(仮称)」を設定し、1年間の医薬品販売実務経験、試験対策、合格後のフォロー研修を含めた、トータルの資格取得支援策を検討する‐‐などを行っていく。
21日に都内で開いた記者会見で、ココカラファインの塚本厚志代表取締役社長は、「ドラッグストア業界は加速する高齢社会や薬事法改正などの社会背景から、大きな変革の時を迎えている。まさに、社会にとってドラッグストがどのような存在意義を示すことができるのかが、問われている」とし、「今回の業務提携を通して、コンビニエンスストアのノウハウや店舗網を通して、店舗として、企業としてお客様に提供することのできる新たな価値を、創造できるものと期待している」と述べた。
サークルKサンクスの中村元彦社長は、「コンビニエンス業界は大変厳しい売り上げ状況が続いているが、異業種との連携を通じて、これまでにない新しいコンビニエンスストアを作り上げたいという強い思いを持っている」と話した。