中央社会保険医療協議会薬価専門部会は22日、2010年度薬価制度改革の骨子を了承し、続いて開催された総会に報告した。これにより、焦点の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行的導入が正式に決ったほか、薬価算定方式で、配合剤、既収載品と同一成分・同一投与形態で効能・効果が異なる新薬、バイオ後続品の取り扱いを見直すことなどが固まった。
骨子は、改革の基本的考え方として、「特許期間中の革新的新薬の適切な評価に重点を置き、特許の切れた新薬については、後発品への置き換えが着実に進むような制度としていく」方向性を示した。
既収載品の薬価改定方式では、後発品のない新薬について、市場実勢価格と基準価格の乖離率が、全収載品の加重平均を超えないことを条件に、薬価を維持する「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を、次期改定まで試行する。
適応外薬等の必要性を判定する、厚労省の有識者会議から開発要請を受けてから、1年以内に治験に着手しなかったり、半年以内に公知申請を行わない企業の全ての新薬に、加算を適用しない規定も組み込む。期限内の対応ができていないと中医協が判断した場合には、次の改定で、それまでの加算累積分を通常改定に上乗せすると共に、加算で得た販売額に、5%の利率を乗じた金額相当分を追加して引き下げる。
再算定ルールも一部修正する。市場拡大再算定では、臨床的有用性による引き下げ率緩和措置の適用を、個別品目ごとに可否を判断する。用法・用量変化による再算定については、副作用に考慮し、医療現場で従前から減量している品目に適用しない。また、先発品が不採算でなくても、後発品に不採算品再算定を適用できるよう見直す。
さらに、小児適応や希少疾病の効能追加や、市販後に有用性が検証された場合の加算を、企業の負担が相当程度低い場合には適用しないとしたほか、最低薬価の見直し、長期収載品の追加引き下げなども骨子に盛り込んだ。
新薬の算定‐類似薬効(I)が原則
一方、新薬の薬価算定方式では、抗菌薬のように医療上の必要性から用法・用量を変更した新薬については、補正加算の有無にかかわらず、原則として類似薬効比較方式(I)により算定する。
外国価格調整で、比較対象国の最高額が他の平均値の2倍を超えた場合に、最高の国の価格を平均の2倍とみなす仕組みを導入する。
配合剤については、全配合成分が同様の効能効果、投与形態で収載されている内用の配合剤の場合、既収載品の合計薬価の0・8倍を基本に、要件を満たす場合に補正加算を適用する。ただし、HIV薬は通常通り算定する。
同一成分・同一投与形態で、効能・効果が異なる既収載品のある新薬については、類似薬があっても原価計算方式で算定し、類似薬効比較方式による算定値を上限とする。
バイオ後続品の薬価算定については、通常の後発品と分けて、先行バイオの0・7倍をベースに、臨床試験の充実度に応じて、10%を上限に加算する仕組みとする。