
松尾正彦氏
明治製菓取締役専務執行役員薬品カンパニープレジデントの松尾正彦氏は7日、都内で記者会見し、2010年度薬価制度改革で「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」が試行的に導入される一方、長期収載品の追加引き下げ率が2・2%に拡大したことを受け、「新薬価制度の影響は大きい」と強調。11年度を最終年度とする中期経営計画「Jump!11」の売上数値目標を見直す方針を明らかにした。ただ、「守りから攻めへと反転攻勢をかける姿勢は崩さない」として、新製品の抗うつ薬「リフレックス」の大型化と、ジェネリック医薬品(GE薬)の売上拡大で、薬価改定の影響を吸収していく方針を示した。
同社は08年度薬価改定で、抗菌薬「メイアクト」と抗うつ薬「デプロメール」の主力品が特定引き下げを受け、大幅な薬価ダウンを経験したが、10年度改定では、長期収載品の割合が4割強を占める同社を、追加引き下げがさらに直撃する。医療用医薬品部門の売上高の1割程度が薬価引き下げの影響を受ける見込みだ。松尾氏は「中計策定時は、新薬価制度は12年度を見込んでいた。これまで考えていた施策の前倒し実施や追加を検討しなければならない」と、中計目標の見直しに言及。長期収載品の追加引き下げへの対応を急ぐ方針を示した。
具体的には、昨年、新発売した小児用経口カルバペネム系抗菌薬「オラペネム」、抗うつ薬「リフレックス」の市場定着を図ることで、早期の売上最大化を目指したい考え。特に中枢神経系(CNS)領域で国内営業力を強化し、リフレックスの大型化実現を急ぐ。11年度には、現行130人のCNS専門MRを200人体制に、MR全体では800人体制に増員する方針だ。同時にGE薬の強化を前倒しで進める。
松尾氏は、「新薬価制度の10年度スタートで、GE薬の中計目標をさらに上方修正せざるを得ない」と指摘。実際に、GE薬の09年度の売上高計画を130億円から140億円に上方修正しており、「GE薬は1ブランドずつ着実に育成し、海外拠点を活用したコストダウンを図ることで、兼業メーカーでは専業大手4社に次ぐトップの位置に立ちたい」と述べた。
さらに、次期主力品として、自社創製のC型肝炎治療薬「ME3738」とリフレックスの適応拡大を柱と位置づけ、経営資源を集中投入していく方針を表明。「これら2製品で新薬創出・適応外薬解消等促進加算のメリットを取りに行きたい」と、次期新薬創出への意気込みを語った。