厚生労働省は、後発品の使用促進による2010年度の財源効果として、当初400億円以上の国費削減を見込んでいたが、財務省は半分程度にまで圧縮していたことが分かった。昨年末に発表された確定値は190億円で、08年度の220億円、09年度の230億円を下回るが、これまでの実績が見込みに達していなかったため、例年以上に厳しく査定された。
後発品の普及について、政府は12年度までに数量シェア30%以上を目標に掲げている。しかし現状は、目標値を設定した06年度当時が16・9%、昨年は20・2%と、3ポイント程度の上昇にとどまっている。そのため、財務省は「期待したパスに乗っていない」として、財源効果を堅めに見積もった。さらに、過去の置き換え不足分については、次期薬価改定における後発品のある先発品の薬価を、追加的に2・2%引き下げて精算することとなった。
予算編成の前提として、中央社会保険医療協議会は昨年中に、10年度診療報酬改定で対応する後発品使用促進策の大枠を決定した。薬局については、後発医薬品調剤体制加算の調剤率要件を、処方せんベースから数量ベースに見直すと共に、含量・剤形違いの後発品への変更調剤を認める。
さらに、医科についても、後発品採用に積極的な医療機関を、入院基本料の加算で評価するほか、療養担当規則を厳格化し、患者が後発品を選択する機会を提供する努力義務を医師に課すことが固まっている。
病院や診療所に手を付けることで、これまでの予算編成で織り込んできた処方せん様式の変更、被保険者への後発医薬品希望カード配布、調剤報酬への後発医薬品調剤体制加算の導入に比べると、医療関係者への影響は大きい。
ただ、財務省は、過去の財源効果に根拠が乏しいことを理由に、前回を越える規模は過大だと判断した。医療費国庫負担に見込み不足が発生すれば、補正予算で手当てしなければならない事情もある。
予算上は、後発品への置き換えが鈍化するように見えるが、10年度に政府目標に近い水準まで後発品シェアが伸びなければ、さらに厳しい対応が求められることになる。