シーエーシー(CAC)は、安全性情報管理の「模擬査察」を受託するオランダのヴィジレックスと協業を開始した。世界的に製造販売後の安全性情報が重視される中、厳しさを増す欧米当局のファーマコビジランス(PV)査察をクリアするため、国内でも模擬査察のニーズが高まると判断。欧州で初めて設立されたコントラクト・セーフティー・サーベイランス・オーガニゼーション(CSO)のヴィジレックスと提携することで、安全性ソリューションの拡大を狙う。特に海外進出を目指す国内中堅製薬企業をターゲットとし、模擬査察の受託によってグローバル展開の支援を進めたい考えだ。
1996年にオランダのロッテルダムに設立されたヴィジレックスは、米国FDA、欧州EMEAが行うPV査察に際し、事前に「模擬査察」を受託し、必要に応じて指摘事項等をアドバイスしている。PVの模擬査察ビジネスは、日本では知られていない業務形態だが、ヴィジレックスの顧客はグローバルで約100社に上るという。
特に最近、安全性重視を強める欧米規制当局は、新薬の承認に当たってPV査察を精力的に実施している。PV査察での指摘事項は、上市時期の遅延に直結するため、欧米で承認取得を目指す製薬企業にとっては、PV査察をクリアすることが大きな関心事となっている。
一方、日本では、独自に実施しているGVP(製造販売後安全管理基準)適合性査察がPV査察に当たるが、国内製薬企業がグローバル展開を目指すには、欧米規制当局の査察をクリアしなければならない。そこで、シーエーシーは、模擬査察の受託でトップクラスの実績があるヴィジレックスと協業し、国内で本格的に模擬査察の受託を開始することになった。今後、グローバル展開を目指す国内中堅製薬企業をターゲットに受託を見込んでおり、ヴィジレックスは、ほとんど模擬査察の需要が開拓されていない日本市場に参入する。既に両社の協業関係によって、中堅1社から模擬査察を受託し、海外進出の支援を行っているという。
こうした中、シーエーシーは、同社のゲートウェイから安全性情報を日欧米の三極に電送するなど、これまで培ってきたITの強みを生かし、模擬査察を支援したい考え。実際、中堅製薬企業の海外進出に当たって、ヴィジレックスが行う模擬査察に参加すると共に、グローバル展開に向けたデータベースの導入やグローバルSOP作成など、実務的な業務を引き受ける。ヴィジレックスと協業関係を深めることで国内の顧客を増やし、CROとして安全性ソリューションのサービス拡大を狙う方針だ。