アストラゼネカとアステラス製薬は14日、都内で記者会見し、新発売した気管支喘息治療配合剤「シムビコートタービュヘイラー」の共同販促を、MR2700人体制で進め、喘息治療薬市場の国内トップシェア獲得を目指す方針を明らかにした。特に開業医をターゲットに、アストラゼネカ1400人、アステラス製薬1300人のMRを投入。高い抗炎症効果と速い効果発現を同時に実現できるシムビコートを訴求することで、日本で使用量が少ない吸入ステロイド薬の普及率向上につなげたい考えだ。
シムビコートは、吸入ステロイド薬のブデソニドと、長時間作動型吸入β2刺激薬のホルモテロールを配合した、ドライパウダー吸入式の気管支喘息治療剤。既に世界100カ国以上で承認され、グローバルの2009年度売上高は、20億ドルを超える大型製品に成長している。
記者会見したアストラゼネカ取締役上級副社長兼最高執行責任者(COO)のマーク・マロン氏は、高いシェアを誇る欧州各国の成功事例を挙げた上で、「日本には米国、欧州各国を上回るMRを投入し、世界的な標準治療を導入することで貢献したい」と、日本市場の成功に期待を示し、喘息治療薬市場でトップシェア獲得を目指す方針を表明した。
取締役プライマリーケア事業本部長の金子潔氏は、吸入ステロイド薬の使用率が39%と低い日本の現状を指摘。抗炎症効果と速い効果発現を実現するシムビコートを浸透させることで、吸入ステロイド薬の普及率を76%の欧州並みに引き上げたいとした。特に国内で約530万人と言われる成人気管支喘息患者の7割が受診する開業医をターゲットに、シムビコートの販売で攻勢をかける方針だ。
一方、共同販促を行うアステラス製薬上席執行役員営業本部長の山田活郎氏は、「高いポテンシャルを持つシムビコートの販売は、われわれが目指す国内売上トップシェアを実現する絶好のチャンス」と述べ、最重点製品と位置づけていく方針を表明。「開業医担当のMRラインを総動員して、共同販促を推進していきたい」と大型化への意気込みを語った。
既にアステラス製薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤「ミカルディス」、高脂血症治療剤「リピトール」の共同販促を通じ、外資系企業と豊富なアライアンス経験がある。「シムビコート」の共同販促を手がけることで、呼吸器領域の経口抗菌剤「ジェニナック」、アレルギー治療剤「インタール」とのシナジー効果を発揮し、国内売上シェアトップの実現に向け弾みを付けたい考えだ。