長妻昭厚生労働相は15日、中央社会保険医療協議会(会長:遠藤久夫学習院大教授)に2010年度診療報酬改定について諮問し、内閣が決定した改定率や社会保障審議会医療保険部会・医療部会が策定した基本方針のほか、政務三役が示した見解に基づく答申を行うよう求めた。これを受けて中医協は同日、現時点における改定の骨子をとりまとめた。今後は、骨子に対するパブリックコメントを募集すると共に、22日に福島市で公聴会を開いて国民の意見を直接吸い上げ、個別点数の水準や算定要件の具体策を詰めていく。
骨子は、社保審部会の基本方針の項目立てに沿って、これまでの議論を整理したもの。不採算部門の点数引き上げや要件緩和を行うほか、病院勤務医の処遇改善に向けて、勤務医の負担を軽減する体制を要件とした診療報酬項目を拡大すると共に、軽症患者の救急受診への選定療養導入を検討することなどを打ち出した。
DPCにおける薬剤師の病棟配置に着目した評価の検討も盛り込まれた。ただ、調整係数に代わる新たな機能評価係数として、チーム医療を指標化することが難しく、DPC評価分科会では次期改定での導入を見送る公算が強まっている。そのため、他のコメディカルを含めたチーム医療の評価は、継続課題に位置づけ、次期改定では、出来高算定となっている薬剤管理指導料を、診療録管理体制加算などと同じように、従来型の機能評価係数へ移す方向だ。
また、癌対策を推進する観点から、外来化学療法加算を引き上げるほか、入院医療における医療安全を強化するため、感染症チームによる回診や、抗生剤の管理等の感染防止対策を評価する。専任の医薬品安全管理者を配置し、医薬品情報管理室による情報を一元的に管理する体制も支援する。
調剤報酬については、一包化薬調剤料を内服薬調剤料の加算に位置づけると共に、22日分以上が一律になっている内服薬調剤料の評価を適正化する。湯薬の調剤料も、投薬日数の伸びを踏まえて見直す。また、ハイリスク薬が処方された患者に対する服薬指導の評価を新設する。さらに、近隣の医療環境に配慮し、基本調剤料の特例を適用する際、処方せん受け付け回数から、時間外加算や在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定に係る処方せん受け付け回数を除外する等の対応を行うことも示した。
後発品普及に向けた対応では、▽調剤報酬の後発医薬品調剤体制加算の要件を三段階の数量基準に変更▽含量・剤形違いの変更調剤容認▽後発品採用割合20%以上の場合の入院基本料加算による評価▽療養担当規則改正による医師の努力義務厳格化―を行うことを明記した。