12日に発表された大阪府の登録販売者試験結果をもって,2009年度第1回目の各都道府県の登録販売者試験結果が出揃った。本紙が行った集計では、合格者数は延べ2万0153人で、全国平均合格率は47・4%となった。今年度に第2回目の試験を実施する愛知県と富山県の受験申請者は、両県合わせて約2400人のため、今年度は最大で2万2500人と,昨年度の約3分の1の合格者が出る見込みだ。
昨年度は、登録販売者試験実施の初年度ということで、32都道府県で年2回,試験が実施されるなど受験機会も多く、全国で延べ9万1024人が受験し、5万8715人が合格した。また、昨年度の登録販売者試験の全国平均合格率は64・5%だったが、今年度は約17ポイント以上下回る結果となった。ただ、今年度についても合格率トップの東京都76・7%に対し、青森県の27・6%という数字からは、受験者レベルの問題だけではなく、やはり試験問題の難易度に格差があったと推察できる。
また、今年度も昨年度同様、受験者は複数県にまたがって受験申請を行う傾向があったようだ。例えば、全国で最も遅く試験を実施した大阪府では,願書提出者4577人に対し、受験者は3388人と欠席率が26%に及んだ。他エリアで合格した人は、大阪府での試験を回避できたということだろう。
いずれにしても、登録販売者の延べ合格者数は、この2年間で8万人を超える見込みだ。
これら登録販売者試験合格者の多くは,販売従事登録を経て、何らかの形で医薬品販売に従事することになる。旧薬種商販売業のように,個人事業主として店舗するのは少数で、大半がドラッグストア等の大型量販店の従業員なのだろう。
新販売制度に伴い12年6月までに,一般薬の販売業態は「薬局」「店舗販売業」「配置販売業」の3業態に区分けされる。それまでに登録販売者は10万人を超える可能性がある。さらに、同じ年の4月には約1万人の6年制薬剤師が輩出されることで、一般薬販売における薬剤師と登録販売者の役割分担の明確化が一層進むだろう。
医薬品販売に従事できる登録販売者は、試験で一定の知識を有する者として認定されてはいるが、日々変化する医療や医薬品を取り巻く環境変化,副作用情報等に関連する新たな知識などを吸収し、生命関連商品である医薬品を販売する資質を担保する継続研修が欠かせない。新販売制度の体制を規定した省令でも、店舗販売業の開設基準に,「登録販売者の資質確保のための研修の必要性」が明示されている。
現在、登録販売者の団体として、全日本医薬品登録販売者協会(昨年、全日本薬種商協会から名称変更)のほか、日本医薬品登録販売者協会などが存在している。いずれの団体も、登録販売者の資質確保に向けた研修を,事業活動の大きなテーマとして掲げ、取り組んでいく方針を打ち出している。
新たに誕生している登録販売者は、「薬屋の従業員」というだけにとどまらず、地域のセルフメディケーション推進の一端を担うというくらいの気概を持って、日々の医薬品販売に従事してほしい。それが医薬品小売販売業界のステイタスの底上げにもつながる。多いに期待したい。