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実行問われる診療・調剤報酬改定

2010年01月22日 (金)

 新政権下の予算編成の中、中央社会保険医療協議会委員の人選などに時間を取られ、一時はどうなるかと思われた診療報酬改定も、頻繁な会合が重ねられ、漸く年末に僅かだがプラス改定で決着。新年に入っても急ピッチで会合が開かれ、現時点における改定骨子に対するパブリックコメントを募集すると共に、きょう22日には福島市で公聴会を開催し、直接国民の意見を吸い上げる。その後、個別点数の水準や算定要件の具体案を詰めるという大詰めの段階にまで辿り着いた。

 改定骨子では、病院薬剤師の関係として▽外来化学療法加算の引き上げ▽医療安全強化に向けた感染症チームによる回診や抗生剤の管理等の感染防止対策▽専任の医薬品安全管理者を配置し医薬品情報管理室による情報を一元的に管理する体制も支援する――としている。

 いずれも、要件として薬剤師が明記されている。もしくは実質的に薬剤師が関与すべき項目も多く、チーム医療において薬剤師がしっかりと根を張れるよう、慎重に算定要件の具体策が詰められることが期待される。

 新たな中医協委員選出では,薬剤師についても、“病院”が重視されただけに、病院薬剤師の将来につながる路線が描かれるのではと期待する関係者も多い。

 ただ気になるのは、薬剤師の配置が大病院であっても増えている施設と、一向に増員が進んでいない施設があり,その開きが出ていることだ。詰まるところ、施設長の薬剤師業務に対する見方に、大きな温度差があるということではなかろうか。

 一方で、スキルミックスの議論が進み、薬剤師業務に対する評価・見方にも変化の波が押し寄せようとしている。中央での戦いを他山の石とし、患者にとってのよりよい医療を目指して,『薬剤部長』が積極的に指導力を発揮し、病院薬局業務の質向上に向けて,ぜひ『闘う』姿勢を示してもらいたい。

 一方、調剤報酬に関しては、日本薬剤師会執行部では既に2012年度の次々期改定に照準を合わせているようだが、新たな報酬体系の方向性を見る限り、現場の薬局・薬剤師の取り組みいかんによって、まさに次々期改定は大変なことになると懸念される。

 審議の過程では否定する声も聞かれたが、病薬同様にハイリスク薬が処方された患者に対する服薬指導の評価が新設される。また、後発品普及に向け、[1]調剤報酬の後発医薬品調剤体制加算の要件を3段階の数量基準に変更[2]後発品採用割合25%以上の場合の重点評価[3]含量・剤形違いの変更調剤容認[4]療養担当規則改正による医師への努力義務の厳格化――などが示されている。

 特に在庫負担の軽減という観点から、含量違いまたは剤形違いの後発品への変更調剤も、「処方医に改めて確認することなく」含量規格が異なる後発品、類似した別剤形の後発品への調剤が認められる。

 調剤報酬上も努力に応じた点数が得られる仕組みになるなど、外堀ばかりか内堀も埋められ、「ここまで配慮した。さあ、やってくれ!!」と言われているようだ。

 かつての後ろ盾・自民党が野に下った中で、他の2師と並んで、プラス改定を得た。また後発品普及では大きな『期待』が寄せられている。『結果』によっては『仕分け』ということも。



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