厚生労働省の高度医療評価会議は1月29日、[1]再発卵巣癌等に対する標準化学療法とベバシズマブの併用療法およびベバシズマブ単独の維持療法[2]上皮性卵巣癌等に対するパクリタキセル毎週静脈内投与併用カルボプラチン3週毎腹膜内投与――を新たな高度医療に承認した。また、[3]インスリン依存状態糖尿病治療としての心停止ドナー膵島移植[4]高齢者・腎機能低下症例に対する血液透析併用バルーン塞栓動脈内抗癌剤投与法(BOAI)、放射線照射による集学的膀胱癌治療――を、適切な実施体制の確保などの条件をつけて承認することも決めた。
今回の4件は、いずれも適応外薬を用いる技術。
[1]は、埼玉医科大学国際医療センターが申請していた。再発性卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌について、標準治療とされているパクリタキセル、カルボプラチンに、結腸癌等の治療薬であるベバシズマブを併用する。維持療法として同剤を投与し予後の改善を図ると共に、再発卵巣癌に対する手術適応の意義を明らかにすることを目的としている。
[2]も、埼玉医科大学国際医療センターが申請した技術。上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌に対する標準治療の用法・用量を変更して,予後の改善を図る。具体的には、パクリタキセル毎週投与を併用したカルボプラチンの静脈投与を、腹腔内投与に変えて治療効果を検証する。
[3]は、福島県立医科大学病院が申請。血糖不安定性を有する重症インスリン依存性糖尿病に対し、膵島を経皮経肝門脈内カテーテルで投与する技術。さらに、術後に免疫抑制剤を投与し、膵島の生着を維持し、血糖の安定を持続させる。長期投与するシクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルの3剤の定期的な薬物血中濃度のモニタリングなどが条件となる。
[4]は、大阪医科大学病院が申請。血流塞栓用バルーンが付属したカテーテルで血流を遮断し,抗癌剤を動脈内に注入する。腫瘍細胞が低酸素状態なる上に、高濃度のシスプラチンが局所的に送達するため、放射線照射との相乗効果で,非常に高い殺細胞効果の発現が期待できる。