日本製薬工業協会の庄田隆会長は1月29日、都内で記者会見し、2010年度薬価制度改革で試行的導入が決まった「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を、「12年度から恒久的な制度にすることが大変重要」とした上で、「加算の意義について、医療関係者に十分な理解を求めていくことが必要」との考えを示した。製薬協として、医療関係者に新薬創出加算の理解を求めるため、具体的な方策を検討していく。
庄田氏は、新薬創出加算の導入を、「薬価制度60年の歴史の中で画期的な改革」と高く評価した上で、「今回の制度は、いかに新薬を出していくかが本来の目的であり、そのために加算される制度である」と強調。あくまでも“新薬創出促進加算”と位置づけ、未承認薬・未承認効能への対応は、「目の前にある問題」との見方を示した。その上で、「有識者会議での検討を踏まえた要請には、企業側が真摯に対応するのが基本」と、会員各社に適切な対応を求めた。
流通適正化の問題にも言及し、「未妥結仮納入は一定の改善が見られたが、薬価差は拡大した」と指摘。「新薬創出加算の導入後は、薬価差を過大に広げるような活動は慎むべきで、加算品目については総価でない取引をお願いしたい」とクギを刺した。製薬協としても、加算の意義について、医療関係者に十分な理解を求めていく方針で、小冊子を作成し会員各社のMRを通じて医療関係者に配布するなど、具体的な広報・研修活動を検討していく予定だ。
その上で、12年度薬価改定での新薬創出加算の恒久制度化に意欲を示し、▽8割に減率された加算率▽長期収載品の2・2%追加引き下げ▽必須医薬品の加算対象外――の撤廃に向け努力していく考えを表明。さらに、議論が持ち越しになった市場拡大再算定の見直しを含め、「新薬創出加算の恒久制度化と市場拡大再算定の見直しが12年度改定の課題になる」と位置づけた。
一方、政府が発表した「新成長戦略」に対する考え方として、「ライフ・イノベーションによる健康大国概略」の中で、日本発の革新的な医薬品の研究開発推進が盛り込まれている点について、「製薬協の要望と一致しており、歓迎する」と評価した。また、アジア諸国との連携についても、「成長基盤の強化に向け、政府と一体となった努力を続けていく必要がある」と,前向きな姿勢を示した。そのために製薬協として、政府と産業が直接対話する場の設置を求めると共に、具体的な政策提言を行っていくとした。