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調剤業務の法解釈、改めて確認を

2025年08月22日 (金)

 各都道府県や保健所設置市の薬務主管課から、薬局等に対する行政処分を実施した旨の発表が行われることがある。その内容は、薬局の開設者や管理薬剤師が責務を適切に果たせていないケースが多い。管理薬剤師は、医薬品医療機器等法で薬局内の医薬品管理や従業員の監督を行う責任者として、薬局開設者の選任による配置が義務づけられている要の職だ。

 2021年6月に厚生労働省が発出した「薬局開設者および医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」では、管理者は薬局での実務経験が5年以上あり、認定薬剤師であることが重要とされている。単なる実務の管理者としてではなく、改正法の動向や薬局に関係する通知の類も常に念頭に置き、業務を遂行することが求められる。

 特に19年4月に薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方として「調剤業務のあり方について」、いわゆる「0402通知」が示された。その後、薬剤師が調剤に最終的な責任を有することが前提だが、非薬剤師スタッフを調剤関連業務に活用する動きが加速している。

 そうした背景もあるのか、「薬剤師でない者が、販売または授与の目的で調剤していた」等を理由とする薬局への行政処分は後を絶たない。非薬剤師が処方箋に記載された医薬品の必要量を取り揃える行為を超えて軟膏剤、水剤、散剤などの医薬品を直接計量、混合するなど無資格調剤に該当する事例も出ている。

 行政の立ち入り調査での聞き取りに対し、薬局開設者や管理薬剤師は「0402通知の認識を誤って指示していた」と弁明している。また、医師等からの処方箋交付を受けていない者に対して正当な理由なく処方箋医薬品を販売していた別の事例でも、薬局開設者は「違反行為であるとの認識はなく販売していた」と話していた。

 ただ、これらの行為により、薬局の業務停止などの行政処分が下されることを考えれば、認識不足というには代償が大きい。

 今一度、薬局開設者や管理薬剤師は薬局での調剤業務のあり方を含め、薬機法や薬剤師法の内容について再確認を徹底する必要があるだろう。

 5月に成立、公布された改正薬機法は2年以内に施行されるが、薬局機能や薬剤師業務のあり方も見直される。中でも調剤業務の一部外部委託の制度化、零売の原則禁止、乱用等の恐れのある医薬品の販売方法や確認事項等の厳格化などが盛り込まれた。

 新たに解禁、規制強化される中身についても法律の解釈など理解を深めたい。薬局での調剤業務は対物から対人へシフトしていく中で効率化が図られている。そうした中で調剤過誤が発生すれば、薬局開設者や管理薬剤師の認識不足だけでは済まされない重大な健康被害につながる可能性もある。細心の注意を払った取り組みが求められる。



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