調剤薬局チェーンのクオール、ドラッグストア大手のグローウェルホールディングス(以下グローウェルHD)は1日、都内で業務提携に関する合同会見を行った。両社は1月29日に、医薬品卸のメディパルホールディングス(以下メディパルHD)を含めた3社で、新業態店舗の開発などを目的とした業務提携契約書を締結しており、会見では両社トップが提携の目的や構想を説明した。出資比率や役員構成など詳細は今後協議していくが、3社による新業態開発の企画会社を今春に設立し、まず3~5店舗ほどの実験店を展開していく考え。
業務提携に至った背景について、中村氏は「一般用医薬品は昨年の薬事法改正で、市場環境が大きく変化した。医療用医薬品についても、薬価算定に新たな方法が導入され、医療制度の変化も予想される。調剤薬局やドラッグストアも、時代の変化への対応が急務といえる。さらに、急速に進展する高齢化の中で、特に地域の高齢者に安心・利便性を与える店舗の開発が必要だと考えた」と、新たな業態開発の必要性を挙げた。
グローウェルHDの高田隆右社長も、「これまでのドラッグストアの認識では難しくなる。(高齢化を含めた)新たな時代への対応が不可欠だ」と強調。グローウェルHDでは、深夜営業・コンサルティング販売・調剤併設の三つを推進しているが、グループ企業の調剤併設率はウエルシア関東が8割強、高田薬局が4割強、寺島薬局が2割強と、調剤取り扱い面での格差があり、提携によるシナジー効果に期待を示した。
調剤併設率を早急に100%に近づけるために、薬剤師の雇用や人材育成・教育その他の面で、クオールの経営資源を有効に活用できるメリットは大きい。高田氏は「薬剤師のスキルアップを原点に、あらゆる面でクオールの持つ高い専門技術やノウハウを導入し、レベルアップを図る。地域の信頼を得るドラッグストアを確立するため、様々な点を学びたい」とした。
3社による企画会社は、早くて4月、遅くとも5月までには設立したい意向で、調剤専門薬局とドラッグストアの機能を融合させた新業態店舗を創出していくことにしている。業務提携では、薬剤師教育、PB商品の相互供給・開発、医療モール開発のサポートなどを盛り込んでいる。また、医薬品供給など物流面の効率化については、メディパルHDが強力に支援していく計画だ。
新業態の薬局に関して、中村氏は「あくまで構想の段階だが、保険薬局としての服薬指導、OTC・サプリメントの相談、栄養相談・介護食試食、漢方相談などのほか、介護体験や排泄環境の相談ができるコーナー、また60代や40代からのコーナーを設けたり、料理教室やヨガ教室などができる多目的スペースなども視野にある。これらの組み合わせについては、地域性やビジネス面も考慮し、両社で検討して絞り込むが、まず実験店で経験を積み、次のステップへと歩みを進めたい」とした。