
多田社長
大日本住友製薬の多田正世社長は、昨年10月に完全子会社化した米国製薬企業セプラコールとの融合について、「順調に進捗している」との現状を示した。5日に大阪市の住友ビルで開いた記者懇談会で語ったもの。また、同社の業績にも大きく関連してくるセプラコール買収に伴う資産評価については、「取得原価配分前後の評価差額のうち、特許権については特許が切れるまでに、品目ごとに償却していく」と説明した。
多田社長は、セプラコールの社風について、「マサチューセッツ州郡部のマルボロに立地し、地元従業員が多数を占めるため、生真面目で愛社精神が強い。大日本住友製薬のそれと似ている」と分析。その上で、「買収後3カ月あまりで、研究開発、販売、人事、経理、ITの各分野で、深い議論が進められており、予想以上に融合が進んでいる」と述べた。
さらに、セプラコールからのパイプラインとして、申請中のてんかん(補助療法)治療薬「ステデサ」、第III相試験段階のアレルギー性鼻炎治療薬「オナリス」、不眠(小児)治療薬「ルネスタ」などを紹介。「セプラコールの買収により、厚みのあるパイプラインになった。今後は、前臨床段階のものも含めて、全てのパイプラインを個別に評価し、どの品目を優先的に開発していくか検討する」との方向性を示した。
一方、セプラコール買収に伴う同社の資産評価は、取得原価配分前754億円、取得原価配分後2506億円で、差額評価1753億円のうち、特許権が1208億円を占める。特許権に該当する主な品目には、「ルネスタ」(特許期限14年)、喘息治療剤「ゾペネクス」(12年)があり、「特許が切れるまでに、品目ごとに償却していく」と述べた。
国内戦略に関しては昨年6月から、四つの地域(東日本、首都圏、近畿・東海、西日本)ごとに戦略機能を持たせて、損益管理を行う「地域本部制」を導入したが、「それぞれの地域で戦略を立てているので、地域の特性に合致したきめ細かな戦略が取れるようになった」と力説。
売上目標についても、「地域本部で目標を立て、それを積み重ねていくので、本社が想定している数字を下回るのではないかと心配したが、逆に上回る目標値が設定された」と述べ、「地域ごとに高いモチベーションが維持されるようになった」と高い評価を示した。
新人事制度についても、「現在、現場のMRがより活気づく様々な制度を検討している。組合と調整を進めて、2010年度内に策定したい」との意向を示した。
売上高における長期収載品比率にも触れ、「従来は、新薬と長期収載品比率が70%対30%の割合だったが、アムロジンの特許切れにより40%対60%と、長期収載品が新薬の比率を上回るようになった」と説明した。