薬学教育6年制で必修化された長期実務実習を円滑に行うためには、大学と実習施設との連携が重要な課題。5月からの実習スタートを目前に控え、7日に開かれた薬学教育協議会のフォーラムでは、木津純子氏(慶應義塾大学薬学部臨床薬学)から、両者の連携体制に関するアンケート結果が報告された。大学や施設によって対応が異なり、大学・実習施設では状況に応じたよりよい連携体制を模索している実情が浮き彫りとなった。
調査は、国公立および私立を含む65大学に対して行われた。このうち、実習施設に対して説明会を開いたのは30大学。平均すると2・6回だが、大学によっては説明会を8回開いているところもあるなど、対応はまちまちだった。説明内容については、事前学習の内容をはじめ、訪問指導予定、連携方法などを紹介する大学が多かった。
説明会を開いた30大学を対象に、説明会への薬剤師の参加状況も調査。病院では、延べ1455人の病院薬剤師が実務実習の説明会に参加し、実習施設の薬剤師全員が参加したケースも13大学あった。薬局でも、延べ2860人の薬局薬剤師が説明会に参加し、全員参加は14大学と、病院・薬局ともに参加率が高かった。これに対し、大学教員の説明会への参加率は低かった。
実務実習中の施設への訪問回数は、病院・薬局共に3回と答えた国公立、私立大学が最も多かった。訪問予定時期については、病院では、1回目は2週目を予定する大学が最も多く、2回目が第6週目、3回目が11週目という回答が多かった。
薬局の訪問については、1回目の2週目と3回目の11週目は病院と同じだが、2回目は中盤という回答が多かった。この結果について、木津氏は「薬局数が多いので、6週といったように、しっかりとは決められないのでは」とした。
また、アンケートでは、連携体制の構築に向けて特徴的な取り組みを行っている事例も調査。実務実習中に中間発表会という形で、学生全員、指導薬剤師、教員が参加し、この中で軌道修正を図っていこうとする大学もあった。
今後の課題としては、▽事前学習見学の機会を積極的かつ定期的に設けること▽事務系、医療系教員の負担増、マンパワーの確保▽学生が関与した医療事故、過度のストレスによる精神的ダメージへの対処法に関する実習施設と大学間での検討――などが挙がった。