第一三共は12日、2010~12年度までの第二期中期経営計画を発表した。第二期中計期間は、新興国の成長力を積極的に取り込み、ハイブリッドビジネスを本格展開する時期と位置づけた。特に子会社化したランバクシーとの協業を加速させることで、主力グローバル製品の高血圧治療薬「オルメサルタン」を新興国市場で拡大し、12年度には売上高1兆1500億円、営業利益1800億円を目指す。
今中計では、多様化する医薬品市場、医療ニーズに対応し、新興国の成長力を積極的に取り込みながら、新薬・ジェネリック医薬品(GE薬)・ワクチン・OTC事業のハイブリッドビジネスを本格展開する。特に日米欧以外の「ASCA(アジア/中南米)事業」は、ランバクシーとのシナジーを最大化し、急成長する新興国市場でオルメサルタンを拡大。日米欧を上回る高い成長率によって、12年度には売上高1500億円以上、ASCA事業の売上高比率を09年度の9%から14%に引き上げる。
日本事業は、オルメサルタンとアゼルニジピンの配合剤「レザルタス」の最大化を中核と位置づけると共に、12年までに抗インフルエンザウイルス剤「ラニナミビル」、アルツハイマー型認知症治療剤「メマンチン」、抗Xa阻害剤「エドキサバン」、抗RANKL抗体「デノスマブ」の4製品を新発売する計画を打ち出した。
さらに、GE薬と長期収載品を扱う第一三共エスファを4月に設立し、エスタブリッシュト医薬品事業に参入。12年度には、ワクチン・OTC事業と合わせ、国内売上高5000億円を目指す。
中計の牽引役を担うグローバル製品「オルメサルタン」は、日本で配合剤「レザルタス」、米国で3剤配合剤「CS-8635」の最大化を図ると共に、新興国市場への浸透を加速させ、売上高3000億円以上の達成に挑戦する。
また、次期大型グローバル製品と位置づける抗血小板剤「エフィエント」は、米国で経皮的冠動脈形成術後(PCI)の急性冠症候群(ACS)患者の第一選択薬としての地位を確立し、12年度までに売上高5億ドル(約453億円)の達成目標を掲げた。
12日に都内で開いた中期経営計画説明会で、庄田隆社長は、「世界の多様な医療ニーズの中に、GE薬とエスタブリッシュト医薬品の必要性は大きい」とした上で、「新興国におけるランバクシーの位置づけは、明らかに新薬だけで成長するビジネスモデルとしていない」と強調。ハイブリッドビジネスによって、15年の売上高1兆5000億円を掲げる「2015年ビジョン」の達成を目指す考えを示した。
ランバクシーの創薬機能を融合
一方、研究開発では、重点領域を癌、循環代謝に絞り込み、新たにアンメットニーズに挑戦する研究アプローチとして「新規領域」を位置づけた。また、ランバクシーの創薬研究機能を第一三共のグローバル研究機能に取り込み、グローバル研究機能を確立させる。
国内では、アスビオファーマを創薬に特化したベンチャー型企業に再編し、第一三共が癌・循環代謝・新規領域の低分子・抗体医薬、独U3ファーマが癌領域の抗体医薬、アスビオファーマが炎症免疫・中枢領域の低分子医薬、ランバクシーが炎症・感染症領域の低分子医薬と役割分担することで、競争力の向上を目指すとした。