
ロビンスキー社長
バイエル薬品のジャン・リュック・ロビンスキー社長は6日、都内で開いた記者懇談会で、後発品が発売されていない新製品の割合を、半数以上に高めていく方針を明らかにした。10年度には、新薬の割合が39%に上る見込みで、開発パイプラインも第II相・第III相試験段階の品目が大幅な増加傾向にある。こうした状況を受け、ロビンスキー氏は「今年も新製品で成長を実現したい」と述べ、さらに製品ポートフォリオの戦略的な変革を進める考えを示した。
同社の09年度売上高は、前年比9・3%増の1715億円(薬価ベース)。主力品の高脂血症治療薬「ゼチーア」が17・6%増の148億3700万円、抗癌剤「ネクサバール」が30・7%増の98億3300万円、新製品の高リン血症治療薬「ホスレノール」が60億5800億円と業績を牽引。08年度の成長率0・5%を大幅に上回る伸びを達成し、統合以来、最も高い成長を確保した格好となった。
10年度も、既に1~2月実績で売上高が8・7%の伸びを示し、市場成長率を上回る好調なスタートを切った。ロビンスキー氏は「今年も引き続き新製品で成長を達成したい」と意欲を語った。
開発パイプラインは、大型化が期待される抗凝固薬「リバロキサバン」が第III相試験中で、日本では独自の用量設定試験「J‐ROCKET」が年内に終了予定となっている。その結果を踏まえ、心房細動発症後の脳卒中予防を適応に、世界同時申請を目指す方針だ。さらに、肺高血圧症治療薬「リオシグアト」、加齢黄斑変性症治療薬「VEGFトラップ・アイ」をはじめ、10年には第II相・第III相試験の実施数が24件に上る見通しで、開発パイプラインが充実してきた。
ロビンスキー氏は「将来の成長に向けた自信は、非常に魅力的なパイプラインにある」と強調。10年度には新薬の割合を39%に引き上げ、将来的には55%と半数以上の占有率を目指す方針を示した。製品ポートフォリオの変革を進めてきた同社は、さらに新製品への移行を進め、新薬の比率を高めていく考えだ。
新薬価制度は歓迎
一方で、ロビンスキー氏は、4月に実施された新薬価制度に言及。「日本がイノベーションを受け入れる市場となる第一歩」と歓迎する意向を示し、「革新的新薬を出す意義を高める重要な制度」と高く評価した。その上で、未承認薬2成分3品目の開発要請を受けたことを明らかにし、「これらの対応に100%注力したい」と前向きに対応する方針を語った。