厚生労働省は、国内ワクチン開発メーカー4社(化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、北里研究所、武田薬品)に対し、不活化ポリオワクチンの開発促進を要請した。8日に、足立信也厚生労働大臣政務官名の依頼文書を出した。
国内メーカー4社は、ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチンに、不活化ポリオを付加した4種混合ワクチンの開発を行っている。厚労省によると、来年末にも承認申請される見通しだという。
国内では、ウイルスの毒性を弱めて作る生ワクチンによるポリオの予防接種を行っている。ただ、弱毒化させてもウイルスそのものはワクチン内に存在しているため、稀に麻痺症状などの副反応が出ることがある。また、被接種から2次的な糞口感染で、数百万人に1人の割合で、被接種者の家族などにポリオ麻痺が発生することも知られている。
これに対し不活化ワクチンは、ウイルスから毒性を取り除いて作るため、安全性が高い。
一方、日本でのポリオ発生状況は、1961年以前は年間1000人を超える発生があったが、経口生ワクチンの導入で患者は激減、80年に野生のポリオウイルスは根絶された。また、南北アメリカ大陸や西太平洋地域、欧州でも根絶されているが、インドやアフリカの一部地域で流行が認められており、世界中の根絶が達成されるまでは、予防接種の継続が必要とされている。
こうした現状を受け、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会は、日本でも不活化ワクチン導入が必要なことや、不活化ワクチン導入までの経口生ワクチンによる2次感染者の救済制度創設が必要とする提言を、03年3月にまとめている。救済制度については、04年度事業として取り組まれたが、不活化ワクチン導入までの継続が適当とされていた。