大日本住友製薬の多田正世社長は、10日の決算説明会で、海外事業拡大を目的とした米子会社セプラコールの経営基本方針を明らかにした。また、国内収益構造の変革についても、「10年度中に現在の長期収載品の売上比率60%を、55%にまで改善する」計画を示した。
多田社長が掲げたセプラコール経営基本方針のガバナンス5原則は、[1]経営理念の共有[2]グローバル戦略は大日本住友製薬とセプラコールが協議の上、大日本住友製薬が決定する[3]セプラコールの重要経営事項は、セプラコールの取締役会で決定する[4]現地のオペレーション事項は、セプラコールの責任で決定する[5]グループの事業価値最大化、シナジーの最大化を目指す‐‐の5点。
また、米国進出の戦略品となる統合失調症治療薬「ルラシドン」の発売までのスケジュールについて、「本年10月にFDA審査が終了し、来年度第1四半期の上市を予定している」と強調した。米国上市時のMR体制は、「300人(セプラコール内150人、新規採用150人)で臨む」考えを示した。
一方、国内収益構造の変革では、現在の長期収載品の売上高比率60%を、今年度中に55%にまで低減する具体策として、[1]開発品上市のスピード化[2]導入の推進[3]アバプロ(ARB)、ロナセン(統合失調症治療剤)など、新製品販売の営業資源集中‐‐を挙げた。
多田社長は、今年4月の薬価改定の影響についても言及し、「当社の引き下げ率は9%に及ぶ」と明かした。さらに、「新薬創出加算数の対象品目数は多かった(9成分17品目)ものの、加算部分は少なかった」と分析。「今後も、加算が取れる可能性がある製品については、加算してもらえるような事業展開を図りたい」と述べた。
未承認薬の取り組みでは、「外資から導入した製品が中心となるため、外資との話し合いを中心に進めていきたい。数もそれほど多くないので、当社の経営に大きな影響を及ぼさない」との見解を示した。
コスト構造の変革では、「14年度までに120億円超のコスト削減を推進する」との目標を示した。その一環として、今年7月の期末賞与を、取締役50%、執行役員・理事10%強、部門長10%、部門長以外の管理職員5%を、基準額から減額することも明らかにした。