アステラス製薬は17日、株式公開買い付け(TOB)を実施している米OSIファーマシューティカルズの買収で合意したと発表した。OSIは買収提案を拒否していたが、買付価格を1株当たり52ドルから57・5ドルに引き上げることで最終契約を締結。友好的に買収が進められることになった。買収総額は約40億ドル(約3700億円)となる。
アステラスは3月1日、OSIのTOB開始を発表したが、OSIは「企業価値に見合わない」として、買収提案を一貫して拒否してきた。ただ、両社は3月29日に秘密保持契約を締結。アステラスがOSIの非公開情報を入手し、資産査定を行った結果、買付価格を1株当たり52ドルから57・5ドルに引き上げることで、最終契約を締結した。
都内で記者会見した野木森雅郁社長は、「買付価格は妥当性のあるもので、両社が納得できる価格」とした上で、「OSIの確固たる癌事業基盤が加わることで、癌領域のグローバル・カテゴリー・リーダーに向け、大きな一歩を踏み出すことができる」と、買収の戦略的意義の大きさを強調した。
今回、OSIの買収が1株当たり57・5ドルで最終合意に達したことを受け、TOB期間は5月下旬まで延長されるが、野木森氏は「できるだけ多くの株式取得を目指して、TOBを進めていく」と語った。
アステラスは、OSIの巨額買収によって、主力の分子標的抗癌剤「タルセバ」に加え、癌領域の創薬プラットフォーム、抗癌剤の後期開発パイプライン、米国における癌領域の販売網を獲得。将来の重点領域を、一気に補強することになる。
国内製薬大手による癌領域の大型買収は、武田薬品の米ミレニアム、エーザイの米MGIファーマに続く動きで、「2010年問題」の対応が遅れていたアステラスも、癌領域の大型補強に踏み切ったことで答えを出した格好だ。