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期待される「健康食品」対策の充実

2010年05月21日 (金)

 健康食品による健康被害を未然に防止するため、東京都では法令違反の可能性が高いと思われる健康食品について試買調査を行っている。先頃まとまった2009年度の調査結果によると、販売店で購入した製品では105品目のうち87品目、インターネット等通信販売で購入した製品では45品目のうち42品目に、それぞれ不適正な表示・広告が見られたという。

 今回の調査では購入した製品のうち、医薬品成分の含有が疑われる91品目について検査したところ、医薬品成分を検出したものはなかったという。

 とはいえ、健康増進法上で不適正な表示・広告、景品表示法上で消費者に優良性を誤認させる恐れのある表示・広告、さらには薬事法上で医薬品と見なす標榜表示は結構多かった。

 いくつかの不適正事例を紹介すると、▽特許の技術により世界最速吸収を実現しました▽ビタミンが豊富で美容効果、風邪、インフルエンザ予防が期待できます▽便秘の解消▽生活習慣病や骨粗鬆症の予防▽花粉症改善、アトピー性皮膚炎改善▽視力回復サプリ▽新陳代謝の促進・免疫力の向上▽肝臓・腎臓・筋骨を強化、脂肪を落とし精力を増す、老化防止によい――など。何となく普段よく見ている感じがなくもない。

 都では、食品等の安全性に関する情報について調査を行い、その結果を知事に報告する知事の附属機関として「東京都食品安全情報評価委員会」を設置しており、その今年度第1回の会合が17日に開かれた。

 評価委員会では個別の課題を専門的に検討するため、いくつかの専門委員会を設けている。その一つが『「健康食品」による健康被害事例専門委員会』で、都医師会や都薬剤師会を通じて収集した「健康食品」の利用との関連が疑われる健康被害情報の分析・評価を行っている。

 今回の食品安全情報評価委員会の中では、健康被害事例専門委員会の報告も行われ、06年7月1日から09年11月30日までに、医療機関から延べ164事例が報告されたという。内訳は、医師会分が78人・延べ111事例、薬剤師会分が49人・延べ53事例となっている。健康食品の利用目的は、20~30代はダイエット目的、50代以降は健康維持や膝などの関節痛が目立っている。

 06年から始まった医療機関と連携した情報収集は、医師や薬剤師が診察・相談時に、都民からの健康食品の利用状況を把握し、利用と関連が疑われる体調不良等の情報を収集することで、被害の未然防止・拡大防止につなげるのが狙い。

 評価委員会に出席した委員からは、「医師会、薬剤師会がこうした情報収集をしていることを、今回初めて知った。もっと都民(消費者)にアピールしていいのでは」との意見も見られた。

 都では「今後は、さらにホームページ等での迅速な情報提供に努めると共に、健康被害を早い段階で察知するためにも、もっと事例を集めていきたい」(福祉保健局)とし、引き続き医師会・薬剤師会の協力を求めていく考えだ。関係各部門と医療機関の連携した、さらなる取り組みの充実を期待したい。



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