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医薬品卸、今こそ存在意義示す時期

2010年6月4日 (金)

 日本医薬品卸業連合会の通常総会が行われた。今回は、別所芳樹会長があいさつで指摘した医薬品流通の主要3課題について、同じ内容を会員総意の決議として採択しており、例年の総会とは異なり、変化が見られたことが注目される。

 一つ目は、当然のことながら「流通改革の実現」である。画期的新薬の開発促進と、ドラッグラグの解消を目的とする新薬価制度が実現した。しかし、医薬品の価値に見合った市場価格の形成が不可欠であり、これなくしては制度存在の意義を全うできないとしている。その上で、「まさに医薬品卸業界が、総力を挙げて取り組む流通改善と表裏一体の関係にある」ことを改めて強調し、「流通改革貫徹を目指し、医療機関と調剤薬局との真摯な価格交渉を推進する」との決意を表明した。

 二つ目は「危機管理流通の取り組み」。新型インフルエンザへの対応として、医療基盤を支える医薬品卸業界は、昨年のパンデミックの際に、「積極的な取り組みを展開し、社会的な責務を果たすことに力を傾注した」と報告すると共に、「この経験を踏まえ、危機管理流通の体制整備・確立を図り、医薬品卸業界が社会的尊敬を勝ち取るよう研鑽に努める」とアピールした。

 最後は、別所氏が会長就任以来、重要なテーマの一つとして取り上げてきた「卸機能の充実」だ。

 “世界に冠たる”と形容するMS機能を核とした、日本型医薬品卸ビジネスモデルは社会的財産と位置づけ、「MS機能の進化を図り、フィービジネスの拡充を通じて、新して可能性を開発することが求められている」と自己分析している。

 また、IT化の推進で医薬品のトレーサビリティを充実することが、安心、安全、信頼の医薬品流通の維持確立のための基本的条件として、「われわれは、卸機能の充実を図るため、政官民の関係者の理解を促進し、医薬品卸業界の社会的使命の達成に励む」との姿勢を明確に打ち出した。

 いずれも、医薬品流通の主要な課題解決に向けた決意・覚悟と、医薬品卸の
社会的存在意義を業界の内外に訴えたものである。

 総会では松谷高顕副会長が、政府の第5回新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議で、薬卸連が実施した国産ワクチンの流通アンケート結果と、現場の意見を報告したことも紹介された。

 意見としては、官(都道府県)民それぞれが役割を果たすこと、10mLバイアルの消化促進と接種率向上の観点から集団的接種方式が望ましいこと、返品問題の十分な検討が必要、配送担当者の優先接種者対象への追加などを求めている。

 そのほか、飛び入りで輸液製剤協会副会長から直接の協力依頼(総価取引からの除外)もあり、これまでの総会とは趣が異なっていた。

 2009年度末現在の、薬卸連会員数は354、本社数はとうとう100を切って97社となった。数は減ったが、主要卸企業個々の規模は巨大になり、それに比例して社会的責任も増した。インフルエンザ等への対応のように、医薬品卸業界と卸企業・社員は、自分たちの果たすべき社会的役割を熟知して遂行することで、日本の医療に必要不可欠な存在であることを主張していける。

 鳩山首相、小沢幹事長が辞任するなど、夏の参院議員選挙に向けて政局も混迷の度合いを増してきたが、政局と医療は別に動いている。医薬品卸の存在意義を示し、社会的インフラであることを常に訴え続けていく行動が必要だ。




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