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薬剤師業務拡大、実績づくりの時期

2010年06月09日 (水)

 厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」には、薬剤師が薬物療法に主体的に参加してほしいという願いが込められている。さらに通知では、今後期待される業務も示されているが、そのためには教育が必要であり、力を入れていただき、訓練もぜひお願いしたい――と、厚生労働省大臣官房審議官・岸田修一氏が日本病院薬剤師会の会合で発言した。岸田氏はそれに加えて、厚生労働科学研究による大学病院スタッフに対するアンケート結果も紹介。「医師もこういうことに期待を込めている」とした。

 アンケートは、昨年11月から今年1月にかけて、全国の大学病院の医師、看護師、薬剤師などを対象に行ったもの。

 調査結果によると、「副作用症状の確認による薬剤の中止、減量、変更指示について、薬剤師も可能」と回答した薬剤師は73%あった。その一方、医師は「薬剤師がすればよい」が37%、「薬剤師が実施している」は5%だった。岸田氏は、「つまり実態はあまりないが、医師も薬剤師の活躍を求めている」とした。

 脈拍や血圧、体温、聴診などバイタルサインのチェックについては、薬剤師も実施可能とした薬剤師が50%、薬剤師がやるとよいと答えた医師は25%、薬剤師が実施していると回答した医師は1~2%。「こういうことに関して、ほとんどやられてこなかった。しかし、医師は期待を込めている」と岸田氏は分析した。

 日病薬では、その医政局長通知による「薬剤師を積極的に活用することが可能な業務」に示された事項について、新たな薬剤師業務も念頭に、「大味の文書」に対し独自解釈を提示すべく、特別委員会で検討を続けている。

 例えば、「薬物療法を受けている患者に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと」に対し、堀内龍也日病薬会長は「いろいろな場面で、バイタルサインのチェックを行う」と述べている。

 堀内氏は会長就任前に薬剤部長を務めた群馬大学病院で、薬剤師によるフィジカルアセスメント導入を進めた実績がある。現場の薬剤師も、「副作用の発現を少しでも早く見つける必要がある。バイタルサインも必要」と語る。医師側の協力・支援を得て、確かな技術・知識習得のための院内研修体制も確立されている。さらには来るべき「注射の実施」への対応も念頭に、投薬シミュレーションの実習にも取り組んでいる。

 日病薬の特別委員会に参加する弁護士・三輪亮寿氏は、「薬剤師にできることは薬害防止で、これに焦点を置くことがポイント。その実績を積み、適正使用への責任を持つことが大事」と語る。要は「薬については薬剤師が全責任を持って、しっかりと守る」という意識が必要になる。

 さらに三輪氏は、「民主党の中ではリトル医師、ウルトラスーパー看護師が検討されている。特定看護師は法改正すれば、もっと大きなものになる可能性がある」と指摘する。

 医師不足に端を発し行政が本格的にスキルミックスやチーム医療推進論議をしている今だからこそ、「薬剤師に代わる者はない業務確立」に、実態として取り組んでいくことが、次代への最大責務となる。



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