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【年頭のあいさつ】持続可能な社保制度を構築”厚生労働大臣

2007年01月01日 (月)

厚生労働大臣 柳澤 伯夫

柳澤 伯夫氏

 年頭に当たり、今年が厚生労働行政にとって非常に重要な1年になるとの展望のもとに、新年に望む決意を述べさせていただきたいと思います。

 厚生労働省においては、2004年度の年金制度改革、一昨年の介護保険制度改革、さらには昨年の医療制度改革と、これまで一連の改革を進めてきたところでありますが、本年は、これまでの改革を着実に実施・定着させ、これからの少子高齢社会にふさわしい持続可能な社会保障制度を構築していく意味でも非常に重要な1年であります。

 その一方で、財政の健全化は、国民一人ひとりの安全・安心に裏打ちされた活力のある社会がその基盤となって初めて実のあるものとなると考えています。そのような社会を築くためには、誕生から就労を経て高齢期に至るまでの間、国民一人ひとりが安心して暮らすことができるよう、雇用環境の改善や離職者等への就職支援の充実、医療や福祉などのサービスの質の向上、国民の安全の確保や健康の増進などの観点から、厚生労働行政の充実を図っていくことが必要です。特に本年は、人の一生でも最も長い就労期に関わる労働分野について、多くの重要法案を次期通常国会に提出する予定としております。本年は、これまでの数カ年にわたる社会保障制度改革を円滑に軌道に乗せながら、今日の状況に合った国民の働き方を確立していくという、重要な節目であると考えます。

 私は、このような考えに基づき、厚生労働省の直面する様々な課題の解決に向け、これまで以上に全力で取り組んでまいりますが、以下、個々の具体的な政策に即して、所信を述べさせていただきます。

 第一に、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットである社会保障制度について、国民が安心して暮らすことができる制度の構築という一環した目標の下で、財源の裏打ちを含め、経済財政と調和のとれた持続可能なものとするため、不断の見直しを行ってまいります。

 医療制度につきましては、急速な高齢化の進行に伴う医療費の増加が見込まれる中で、将来にわたり持続可能なものとしていくことが必要であると考えております。このため、先般の改革において、低所得者に配慮しつつ患者負担を見直すと共に、診療報酬制度について小児科、産科等を重点的に評価しつつ全体として3・2%の引き下げを行ったほか、生活習慣病予防や長期入院の是正、75歳以上の高齢者を対象とした新たな医療制度の創設など、超高齢社会を展望した医療保険制度体系の見直しを行うこととしたところであります。

 また、先般の改革においては、医療に関する情報提供の推進、医療機能の分化・連携を一層推進するための医療計画制度の見直しなど、良質な医療サービス提供体制の構築のための改革を行ったところです。今後とも、改正内容について、国民に周知を図り、関係者の理解と協力を得つつ、その着実な施行に向けて努力してまいります。また産科・小児科をはじめとする医師の偏在問題に対応し、地域における必要な医療の確保に積極的に努めてまいりたいと考えております。

 介護保険制度につきましては、国民の老後の安心を支える制度としてスタートして以来今年で7年を迎えますが、多くの利用者の方々に評価をいただくなど、国民の間に広く定着しております。昨年4月には、介護予防を重視したシステムへの転換や地域密着型サービスの創設など、新たなサービス体系の確立などの改正が本格的に施行されました。今後も制度の円滑な運営のために関係者との積極的な連携を図ると共に、国民の皆様の一層の信頼とご理解が得られるよう努めてまいります。

 第二に、就労期における国民一人ひとりの安心感を醸成するため、法整備も含めた労働市場改革に取り組んでまいります。

 第三に、将来の社会保障の支え手を広げるという観点から、若者の自立、働き方を見直し、地域の子育て支援など総合的な少子化対策に取り組んでまいります。

 第四に、国民の安全を確保し、健康増進や生活の質の向上を図り、明るく活力ある社会の実現に向け取り組んでまいります。

 まず、予防重視の観点から、健康寿命の延伸等を目指す新健康フロンティア戦略の策定に向けて内閣を挙げて取り組むと共に、厚生労働省としても「健康日本21」や食育の推進等国民運動と合わせて、生活習慣病対策の充実強化を図ってまいります。

 わが国の死亡原因の第1位である癌につきましては、昨年6月に成立しました「がん対策基本法」に基づき、患者や専門家の方々のご意見も得ながら、対策を総合的・計画的に推進してまいります。

 新型インフルエンザ対策につきましては、「新型インフルエンザ対策行動計画」をより具体化した各種マニュアルやガイドラインのさらなる充実を図り、関係省庁と連携協力し、万全を期してまいります。また、昨年の臨時国会で成立した感染症法の改正につきましては、適切な病原体等管理の導入、実効的な結核対策の充実等の円滑な改正法の施行に向けて、各省とも協力しつつ、全力で取り組んでまいります。

 食品の安全につきましては、科学的知見に基づき、関係行政機関との連携や消費者等とのリスクコミュニケーションを図りつつ、BSE対策や食品中の残留農薬の問題等に取り組み、国民の健康の保護を図ってまいります。

 良質な医薬品・医療機器の迅速な提供を通じた国民の保健医療水準の向上を図る観点から、医薬品等の治験環境の充実等を通じてイノベーションの促進、医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化のための取り組みを進めてまいります。医薬品等の承認審査の迅速化に積極的に取り組むと共に、医薬品等の安全対策の充実や血液事業の推進等に引き続き取り組んでまいります。さらに、医療の担い手としての薬剤師の資質向上、薬局の機能強化を進めると共に、昨年成立した一般用医薬品の販売制度の見直しと違法ドラッグの取り締まり強化を内容とする薬事法改正の施行に万全を期してまいります。

 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しておりますが、その解決に向けて全力で取り組んでまいります。



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