大洋薬品工業と共和薬品工業は、両社が製造販売するテオフィリン製剤後発品の自主回収(クラスII)を開始した。大洋薬品が「テルダン錠」、共和薬品が「テオスロー錠」の製品名で販売していたもので、23日に200mg製剤、26日に含量違いの100mg製剤について、それぞれ回収を開始したと発表した。製造は共和薬品の三田工場で、大洋薬品向けに小分け製造していた。
回収となった要因は、大洋薬品が自社製品の品質見直しに伴い「テルダン錠200」「同100」の参考保存品の品質試験を実施したところ、複数ロットにおいて、溶出試験で承認規格に適合しない結果が得られた。このため、製造する共和薬品に伝え、同社が品質試験を行ったところ、溶出試験で長期間保存したものは溶出が速くなり、承認規格(3時間10~40%、6時間30~60%、24時間85%以上)に適合しない結果が得られた。定量試験での含量は規格内だった。
両社では、特定のロットに限定されるものではないと判断して、使用期限内の全てのロットについて自主回収することにした。回収対象ロットと数量は、「200mg」製剤では、大洋薬品が2008年3月~10年7月までに出荷した16ロット(422万8700錠)と、共和薬品が07年7月~10年7月までに出荷した160ロット(2918万9200錠)。「100mg」製剤は、大洋薬品が07年10月~10年7月までに出荷した32ロット(1213万3800錠)、共和薬品が07年7月~10年7月までに出荷した282ロット(8301万3900錠)
納入先の病院・薬局数(重複)は、大洋薬品は「200mg」製剤が1800施設、「100mg」製剤が約1000施設、共和薬品が「200mg」製剤が5944施設、「100mg」製剤が8152施設。
危惧される健康被害としては、溶出が速くなることで吸収も速まり、テオフィリン血中濃度の立ちあがりが、速くなる可能性が考えられている。ただ、規格に適合しない溶出性ではあるものの、溶出初期の除放性はほぼ保たれていることから、血中濃度は治療域にとどまると推測され、含量も規格内で重篤な健康被害を生じる可能性は低いという。「発売後、重篤な副作用として。アナフィラキシーショック1件の報告を受けている」(共和薬品)としている。