国内中堅ジェネリック医薬品(GE薬)メーカーの富士製薬工業は、2014年をメドに海外に進出する。医薬品原料の輸入等で支援を受けてきた主要株主の三井物産を通じて、自社製品を輸出し、東南アジアと欧州に進出するため、現地で提携を模索する。来年、新製剤棟が稼働予定の富山工場を輸出の拠点と位置づけ、まずパイロット的に注射剤を海外で製造し、三井物産を通じて東南アジアで展開。欧州では女性医療に特化した製品を投入し、将来的な売上高500億円に向けた布石として、海外市場に乗り出す。
富士製薬は、発行済み株式の15%を取得している大株主の三井物産を通じて、医薬品原料や外用薬等を輸入し、同社の購買機能として支援を受けてきたが、中期経営計画で掲げた海外進出を具体化させるため、三井物産を通じて製品の輸出を開始する。来年に稼働予定の富山工場の新製剤棟を、海外向け生産拠点と位置づけ、得意の注射剤、女性医療にターゲットを絞り、東南アジア、欧州市場の開拓を狙う。
これまで海外では、タイの医薬品製造メーカーに、外用薬等の製品生産を委託してきた。こうした実績を背景に、海外で生産したGE薬に加え、富山工場で生産した自社製品を、三井物産を通じて東南アジアに展開する。また、欧州では女性医療に特化した製品を投入する計画で、今後、本格進出に向け、現地で提携を模索していく。まずアジアでは、得意の注射剤を販売するため、パイロット的にプロジェクトを立ち上げ、海外進出の足がかりを作る。
同社は、14年を最終年とする中期経営計画の次の半世紀に向け、売上高500億円を睨んだ海外進出の具体化を打ち出していたが、将来の生き残りをかけた布石を打つため、海外市場に打って出る。
国内GE薬メーカーは、既に最大手の日医工が東南アジアに進出する方針を表明しているが、富士製薬の海外進出はそれに続く動きとなる。これまで政府の後発品使用促進策を背景に、日本市場への外資系GE薬メーカー、新薬メーカーの参入が相次いでいたが、今後は国内GE薬メーカーが海外市場を目指し、積極的に海外企業と提携を活発化させる可能性がある。