健康保険組合連合会は、健保組合の2009年度決算見込みを機械的に合算すると、経常収支差引額が過去最悪の5235億円の赤字になるとする集計結果を発表した。経常支出は6兆6952億円で、対前年度比0・16%増にとどまったものの、被保険者数の減少と、景気低迷に伴う賃金・賞与の低下で、保険料が落ち込み、経常収入が3・1%減の6兆1717億円となったことが影響した。
健保組合数は、09年度末現在で1473組合で、08年度末から24組合減った。財政逼迫を理由にした解散や、一部の自治体が組織する都市健保共済への移行が主な要因だ。09年度の赤字組合数は、前年度より153組合多い1184組合で、全体の8割に拡大した。健保連によると、10年度も財政悪化などを理由に、既に6組合が解散する予定だという。
また、04年度以降は増加していた被保険者数も減少に転じ、前年度を20万人下回る1585万人となり、被扶養者数も23万人減少して1398万人となった。
保険料率は、107組合が引き下げたものの、237組合が引き上げ、単純平均で7・451%と前年度より0・071ポイント上昇した。全体の4分1を超える396組合が、協会けんぽの平均料率8・2%以上となった。ただ、平均標準報酬月額が36万2590円で7135円減少、年間の平均標準賞与額も99万6088円で15万0544円減少し、被保険者1人当たり保険料額は、対前年度比2・5%減の37万6519円となった。その結果、保険料収入の総額は5兆9672億円で3・66%減少した。
一方、支出については、法定保険給付費が前年度より1・7%増の3兆3441億円となり、1人当たり額も21万1009年で3・0%膨らんだ。高齢者に対する支援金・納付金などの総額は2兆7188億円で、1・0%減ったが、1人当たり換算だと0・2%増え、17万1549円となった。
さらに、拠出金・納付金の保険料収入に対する比率は、1・2ポイント増の45・6%に拡大した。法定給付と支援金・納付金などを合わせた、義務的経費の保険料収入に対する比率も、過去最高だった前年度の99・0%を超えて101・6%となり、保険料収入で義務的経費を賄えない状況に陥った。
健保連は、予算ベースの10年度健保組合財政を、09年度より悪い6605億円の経常赤字と見込んでいた。
この推計を出した後には、後期高齢者支援金の協会けんぽ負担分の一部を、健保組合や共済が事実上肩代わりする制度改正が行われ、経済・雇用情勢の先行きも不透明な中で、厳しい財政悪化が見込まれる。今後の見通しについて白川修二専務理事は、「明るいきざしは全くない」と話している。